「どなたですか?」
そう言って僕は玄関の扉を開けた。 いや、居候である僕がこんな事をするのもおかしな話なのだけれど。 音無君が動けないみたいだから仕方ないか。 それにしても音無君は面白いなぁ。 いきなり荒ぶる時とか何を考えているのかよくわからない時が多いけど、見ていて飽きないと思う。観察日記でもつけようかな……? 実は本気で思っていたりする。
閑話休題。 玄関を開けると見えた人物。 黄緑色のアースカラーな長い髪(サイドテールにしている)で、長い前髪は顔の右半分を覆っている。フレームの細い黒縁のメガネをかけていて、目は少し垂れているように見える。これはメイクのせいなのかもしれない。 服は水色のパーカーに青のミニスカート。 実に女の子らしいけれど……。
明 ら か に 男 だ ろ 。
つまり。 もう少し簡潔に纏めよう。要約は大切だ。
「……変態?」 「失敬な!僕のどこが変態なんだよ!!」
女装の辺りが。 あと、なんかオーラ的に。 メタ発言するとするならば、キャラ的に。設定的に。
「それでね、僕の要件は「音無君に会うため?いや、もう少しなにかないかい?月明葉折君」
初対面だがなかなか棘のある言い方になってしまった。仕方ないのかな?
少し、この世界の話をしよう。 この世界はファンタジーだ(メタ発言なんて言わせない)。 ただ、そのファンタジーの中にも殺し屋がいる。 大きな殺し屋は2つ。 月明家と、昼夜家。 月明家は一族と言うよりも組織に近い。 殺しの組織……。その一人が今僕の目の前にいる『月明葉折』という人物。 さっきから色々読もうとしているのだが、一部しか読めない。まるで読まされている感じに。
「なんか、僕の中を読まれたみたいな感じだけどいいや。……それで、嘘誠院音無はどこに居るんだい?」 まあいいやで流されるとは……慣れているのか? 「会って、どうするのかな?」
空気が剣呑なものになるのが分かる。 ……まあ、僕のせいなんだけどさ。
「いやあ、大した理由は無いんだけどさ。僕ってば音無が
好きになっちゃったんだ!」
「…………」 「僕ってば惚れ性でさー。一目惚れなんだよー!」 「…………」
コレは……俗に言う……ホモ? でも嘘は無いみたいだ。 ………… なあんだ。心配して損した。 それでは皆さん、御唱和下さい。
「ド変態か!!」
「なんでだよー!」 「んー?猫さん、どうかしたの?」
僕のキャラが崩壊を始めた辺りで気流ちゃんが来た。
蛙を持って。
どでかい蛙を持って。
蛙を……っ!!
「あ……あ……」 「……?どうかしたのかい?」 「猫さーん?」 「う……」 「「う?」」
「うにゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
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