皆さんこんにちは!
 蛙の妖精こと雨宮気流子だよっ!☆

 ……なんて軽いノリも皆さん疲れちゃうと思うので、気流リン真面目に頑張りまっす!




 猫さんが玄関へと歩みを始めた頃、私は確信していました。音無君の足を掴んで話さない人物……いや、ケロ物。
 そう、皆様お察しの通りの蛙くんです。それも只の蛙じゃない。
「1号おおおおおおおお……っ!」
「何事!?」
 私を音無くんの家へと案内した後、いつの間にか居なくなってしまっていたお化け蛙くん。命名、ケロ君一号。
「け、気流子さん今の呻き声の様なものは何ですか?」
「儀式です!」
「必要性ありましたっけ」
 お化け蛙と言っても別に死んじゃってる訳じゃなくて、ただ凄く大きいってだけなんだ! 枕にするとヒンヤリしてて気持ちいいよ! ……ヌメヌメが無ければなあ…………
「ところでワトソン君、ちゃんと足あるー?」
「どんな状況ですか」
「おっとー! うっかり間違えた☆ちゃんと足捕まれてる感覚あるー?」
「たった数文字で大違いですね。一応あります……ん?」
「ありますん?」
「どっちですか!」
「こっちの台詞だけど!?」


「捕まれている感覚どころか足の感覚が一切無いんですけど。一体全体どういうことですか気流子さん」
「えっとー……」


 急いだ方がいいかなー…………

 ケロ君1号は有毒な体液を纏っていて、それは触れている部分が痺れて来るっていう大したことない毒なんだけど。

 30分も毒に触ってると、毒が染み込んで、細胞そのものが麻痺し始める。最後には血液も通らなくなってしまって…………

「壊死します☆」
「さらりと怖い言葉が聞こえた!?」
「手術しなきゃ駄目かもねー☆」
「いやああああ治療費がああああああ」
「……そこなんだ……」

 二度と歩けなくなるというのに。
 ……小さい頃(今も小さいけど)お姉ちゃんに聞いた話だと、海水をかければ良いって話だけど……お姉ちゃん大嘘吐きだからなー…………

「よーっし、ワトソン君! 塩っ!」
「ナメクジか!」


 で す よ ね


 私もおかしいとは……思わなかったけど、やっぱりお姉ちゃんは嘘ばっかりかー…………でも強いし凄いから憧れる。はいでっていう。


「えーと……、取り敢えず。今ワトソン君の足にしがみついてるのはケロ君1号です」
「……ケロ…?」
 何かなーその目は。

「むー……どうしようかなーっ何をぶっかければ良いのさ〜!」
「……気流子さん、遊んでるなら怒りますよ」
「失礼な!」

 フードを被って視界を狭くしたたけなのに実に心外。私にとってコレは所謂考える人のポーズだと言うのに。


 ……こうなったら実力行使だよね。

「たあ!」
「ゲコッ!?」

 音無君の足首辺り目掛けて腕を縦に振る。所謂チョップ。確かな感触。手応えあり。

「……うわあ、ベトベトになっちゃった……ケロ君め…………まあ、蛙の妖精ちゃんにそんなチンケな毒は通じないのだ〜っ! にゃっはっは〜!」
「独り言が激しいですね気流子さん」
「……ケローン★」

 ……語り部だから仕方ないんだもん…………真面目に喋るとかわかんないし。ってゆうか助けてあげたのに……気流さん凄く傷つきました。
 取り敢えず音無君の毒を洗ってあげなきゃ。

「ワトソン君、お風呂入ろう!」
「丁重にお断りします」
「何故に!? 毒洗わないと壊死しちゃうよ!」
「それは困る。……足だけなら入ります」
「当たり前でしょ!? 私を何だと思ってるの!?」
「………………」
「そこで黙るんだ!」

 この家の部屋配置はもう調査済みだから、音無君と1号を抱えて(引きずって)お風呂場に向かった。






 音無です。気流子さんからマイクを押し付けられたので再び僕が語ります。


「……気流子さんて水魔法を使うんですね」
 水の球を沢山作ってぶつけて遊んでいる気流子さんに聞いてみた。小さく狭い風呂場。湯船に少しだけお湯を溜めて気流子さんと一緒に足風呂なう。
 風呂……和む……。

「魔法? ふーん、これ魔法なんだね……」
「知らなかったんですか?」
「うーん……一族の子供達が使ってたから、普通に皆出来るのかと思ってたよ……。ほら、ワトソン君もこうやってやってご覧よ……ふわって。ね!」

 楽しそうに洗面器のお湯を宙で舞わせる気流子さん。無邪気だなぁ。

「いや、僕は魔法はあまり得意でなくて……」
「ふーん……気流リンも魔法嫌ーい」


 嫌い? 過去に何かあったのだろうか。
 不機嫌そうに魔法を解いた気流子さん。空中に浮いていた状態で解いた為、お湯は形を崩して滝のように降った。
 ……気流子さんに。


「…………」
「………………」

 数秒の沈黙。笑っても良いのだろうか。
 嗚呼、顔が引きつる。

「……笑えば?」
「…………ぷっぐふおぅ」

 笑えばと言っておいて笑った瞬間に腹パンチとはなかなか酷い。

「……着替えないのに……うわあああん」
 と気流子さんが走り出した。
 
「ちょっ……待って下さい!」

 僕が叫んだら気流子さんがピタリと止まって僕の方へと振り返った。珍しく言うことを聞いてくれた……。成長してくれたのだろうか、嬉しい限りである。

「ポップに? ロックに?」
「舞って下さいじゃねえよ!」

 舞うっつーか……踊りじゃねえか。まさかコレを言うためだけに止まったのだろうか。
 再び走り出した気流子さんは猫さんの元に向かっている様だ。……廊下に気流子さんの足跡が残された。あーあ、後で拭かなきゃなあ。



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