さて。
「気流子さん……大切なお話があります」 「丁重にお断りします」 「何故っ!?」
「だって……ワトソン君てば変態ロリコン魔神だもん」 いや魔神て。魔の神て。 「出会ってまだ一日も経っていないのに! 失礼にも程があるっ!」
「だって……ワトソン君てば変態ロリコン魔神だもん」 「そこまで重要ではないうえにガセネタを2回も言わないで下さい!」
「大事な事なので2回言いました!」 「人の話聞いてました!?」
真面目な話をしようとしているのに茶化さないで欲しい。こっちは真剣なんだ。
「気流子さん。貴方もしかしt「わーワトソン君が怒ったー!☆」 「緊張感プリーズ!!」 「はいフリーズ」 「違ううえに寒いっ!? ねねね猫さん何やってるんですかあああああああ」 「いや、偶にはボケなきゃかなーと思って……ホラ、一応ボケ要員だし」 「メタ発言は止めて下さい」
既にボケまくりの人が何か言ッテルヨー………… 猫さんの場合、”天然ボケ”という最も質の悪い種類だけど。
手が凍った。大分痛い。もげそうだ。 そう言えば猫さんは基本氷系の魔法を使うんだったな。氷なら今の時期なら有効活用出来そうだな。かき氷とか…………
「かき氷とか作ったり?」 「そうそう」
「そのかき氷を海やら街やらお祭やらで売ったり?」 「そうそう」
「そしてあわよくば浜辺で戯れるピッチピチの女子を舐めるように眺めたり?」 「そうそ……うんっ!?」
「……気流子さん、耳元で囁くのはやめてください! 生憎ツルペタに興味は無いので」 「つrっ!? お、おぉーっと音無選手! ロリコン用語を発したー!」 「ロリコンロリコンって失礼過ぎませんか? 僕はボンキュッボンのお姉さんがいいんです!」 「私がキュッボンッキュだとでもっ!?」 「いいえ、キュッキュッキュです」 「ぎにゃー!!」 ってゆうか猫さんは何処に行っちゃったんだろう。いつの間にか居なくなっている。 「気流子さん、猫さんは何処へ?」 「…………」 あ、胸元を抑えながら下を向いてる……。震えてるから、泣かせちゃったかな。疲れてる所為もあって子供相手にムキになっちゃったな……謝ろう。反省。
「あ、あの……気流子さ『げしっ』 「ふぐぅっ?!」 「ワト無だってまな板あああああああああ」 泣き叫びながら気流子さんはどこかへ走り去ってしまった。 「な、何だ……よ……ワト、無っ……て……うっぷ」 そもそもワトソンが何だ。
鳩尾をハイキックされた為意識が飛びかけた。何であの人はあの身長でこうも的確に急所を突いて来るのだろう。必死に吐気及び痛みと格闘しながら突っ込み所を間違えた事に気づいた。男で胸あったら怖いだろっつーか嫌だろ、だ。
痛みが引いた頃に水を飲もうとキッチンに向かった(手の氷はいつの間にかなくなっていた)。いやあ、凄く嫌な汗をかいた。以後気を付けよう。 と、僕の足が動きを止めた。僕は全く止まる気が無かったので勿論の事、派手に床に衝突した。誰かに両足首を掴まれている。 ……気流子さんだ。絶対気流子さんだ。あの一撃だけでは飽き足らず復讐にやってきたんだ。 「……あの、気流子さん」 「………………」 反応がない。……困ったなぁ。謝るならちゃんと顔を見て謝りたいんだけど。なんて偽善を吐いてみた。今思ったんだけど僕廊下で寝転んで何やってるんだろうな状況じゃないか? うわああ……恥ずかしい…………
「あれ?」 前方から猫さんが現れた。 「あ、猫さん! すみません、気流子さんを僕から引き離してくれませんか?」 「……何やってるの、ワトソン君」 猫さんの後ろから気流子さんが現れた。え? ……あれ?
「気流子さん、さっきはごめんなさい。大人気ないにも程がありました。ツルペタでもそれはそれで一部の人に人気がありますよ。元気出してください」 「なーんか、本当に反省してるのか微妙な言い方……」 頬を膨らませるのは癖なのだろうか。 「そんなこと言ったのかい音無君……」 軽蔑の目だ。ううん、身長が高い分、威圧感が凄まじい。 「は、はい……安易な発言でした。今では深く反省してます」 「ふーん……まあ別に良いけどね! 気流りんは寛大なる心の持ち主なのだっ!」 「無い胸張ってる姿も愛嬌が合ってとてもいいなあ」 「えっへん!」 「……気流ちゃん……」 褒められて無いよ、と猫さん。ばれたか。ごめんなさいごめんなさい怒らないで怒らないで睨まないで睨まないで。
「全く……気流ちゃんも音無君と同い年くらいじゃなかったっけ?」 「うん! 今年で15歳なんだ〜」 「へぇーそうなんですかぁー」
……同い年……だと…………
「見えねぇえええええッ」 小声で叫ぶ。 「因みに僕は17だったかな」 「見えねぇえええええッ」 色んな意味で。ナイスバディ過ぎます。
「ところでワトソン君は何やってるのー?」 「……めっ目の前でしゃがまないで下さいっ」 「おいおい気流ちゃん! スカートを履いてるという自覚は無いのかい!」 「あ゛……ごごごごめんなさいっ!!」 慌てて立ち上がる気流子さん。勿論中身は見ていますん。(猫さんからの鋭い視線が刺さる)……冗談だというのに酷い仕打ちだ。
「あの……実は足を何者かに掴まれていて、身動きが取れないんです」
『ピンポーン』
「「「 あ 」」」
また客か……じゃ、なくて
「うをぉおおおおおお身動きが取れないいいいいいいいいい」 「あ、じゃあ僕が出るよ? 音無くんは気流ちゃんパワーで何とかできると思うから」 「いってらっしゃーいっ☆」
元気に手を振る気流子さん。とても不安。
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