そういえば、猫さんは読心術みたいなものが使えるのだから、気流子さんの料理への怯えように気づかなかったのだろうか?
 無論、僕の猫さんに対する思いも。気流子さんに聞いてみた。
「……猫さん、かなり鈍感だから……」
 心を読んでおきながら気付かないのは最早鈍感ではないと思う。鈍感に鈍感を掛けてもきっとまだ足りないくらいだろう。
「猫さん、下手したら告白されても『うん? 僕も好きだよ? みんな大好きさ』って友達感覚の告白だと思うだろうし…………」
 気流子さんは更にそう続けた。鈍感どころの話じゃなかった。というか、告白が成功するレベルではなくて通じるか通じないかの問題だった。しかも確率は絶望的だった。
「恋愛が成り立たないじゃないですか!」
「……その、頑張って……音無君」
「ん? 何を頑張るんだい?」
 起きたんだね。と問題の人物はやってきた。水の入ったコップと何かを持って。手料理を経験しているとついつい身構えてしまう。
「猫さーんそれはなーに?」
 気流子さんが無邪気な子供のように聞いてくれた。一方僕は何故か体温が上がってきた。なんか火照ってきた。風邪だろうか? いいえ、恋の病です。
「気持ち悪い!」
 小声で叫びながら吐き気をこらえた。 寒気が止まらないぜ……。本当だから仕方ないけどさ。あの手料理を経験して尚猫さんが好きすぎる自分にドン引きしながら尊敬した。やべーまじ僕りすぺくとっす。
「ん? これは、胃腸薬だよ」
 気流子さんの質問に猫さんが素敵すぎる笑顔で答えた。
 胃腸薬と言うことは!
 まさか猫さんは自分の料理の危険度に気付いてくれたのだろうか!?いやー、良かった良かった。そこまで鈍感じゃ無いじゃないか。
「音無君ったらいっぱい食べてすぐ倒れちゃったからね。胃が凭れちゃったんだろうなってさ」
 はい。と、笑顔で胃腸薬と水を渡してくれる猫さん。

 …………。
 で す よ ね !

 フラグは裏切らないと思い知った瞬間だった。



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