三成さんと吉継さんが戦から帰ってくる。

小競り合いからちょっとした戦になっただけだよ、あの二人ならすぐに鎮圧してくるよ、と半兵衛さんはいつものように穏やかな顔に笑みを浮かべて私をそう励ました。

それでも心配でたまらなかった。戦なんて私は経験したことはなかったから。

吉継さんも心配だったけど、三成さんは特に心配だった。
三成さんは凶王三成と呼ばれるくらい強いのだと聞いても、私の中の三成さんは線が細くてご飯を食べてくれない、休みも取ってくれない、今にも倒れてしまいそうな人だったから。


だから今日くらいに帰ってくると聞いて、私はいてもたっても居られず城門の前にまで私はやってきた。私のお付きの女中である藍さんもついてきてくれた。
そわそわする私に門番さんは腰掛けを用意してくれて、私はそこに座りながらそわそわしていた。藍さんはさっきから微笑みながら私の後ろに立っている。そして半兵衛さんと秀吉さんが隣に腰掛けて笑って見ていた。

「そんなにそわそわしなくても」
「三成はじきに帰ってくるぞ」
「そんなにそわそわしてます?」
「今にも三成君の所に行ってしまいそうなくらいにね。そう見えるだろう、秀吉」
「うむ」

自分でもそわそわしているとは思っていたけど、半兵衛さんと秀吉さんがそう思うくらいそわそわしていたらしい。

一緒に居てくれる秀吉さんと半兵衛さんはいつもならいつもの秀吉さんの部屋で報告を聞くだけらしい。だから、門まで来てくれるのはひとえに私を心配してくれているからだろう。

「天女様!」

門番さんが私に声を掛ける。呼ばれて門まで行けば、馬が見えた。馬に乗る人の太陽に反射して煌めく髪は銀色だ。

後ろに兵を連れて一糸乱れず、この大阪城に向かっているのは三成さんで、その隣には吉継さんがいる。

私に気付いたのか、三成さんが一人馬を走らせ門に向かってくる。
私の前で馬を止めると、鞍から三成さんが飛び降りる。

「何故ここにい…」

三成さんの言葉を最後まで聞かず、私は三成さんに抱きついた。三成さんの鎧に頭をぶつけたけど、気にはならなかった。

「棗、貴様!」
「お帰りなさい、三成さん」

驚いたような三成さんの声がして、それから小さい声で「今帰った」と聞こえた。


お題:例えば僕が

100904緋色來知
戦国時代なので一応。
三成は色んな所に
行ってそうだ。


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