ーーはちみつ色。
 井崎は、自分の膝の上に転がった髪の毛をすきながら、その綺麗な色に視線を落とす。
 この髪の毛の持ち主、三和は井崎の勉強を見てくれると言って呼び出したのに一問どころか、来た途端に井崎の膝に頭を預けて夢の世界だ。
 たまに狸寝入りということもあるので、完全に眠ったかは怪しいが。

 膝枕を井崎がすることが多い。そのときに井崎がはちみつ色の頭を撫でると、三和はよく眠れるらしい。触ったら起きてしまうのではないかと井崎は思うのだが三和はそうでもないらしい。

 三和のリクエストでもある、頭を撫でながら井崎は穏やかな時間を過ごす。

 夕方まだたっぷりと時間がある。
 井崎は微笑むと、さらさらと引っ掛かることなく指の間を通るはちみつ色を撫でた。




07.はちみつ
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お題:)“確かに恋だった”「それは甘い20題」
2013/04/05 緋色来知


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