名前の膝を勝手にシンドバッドが枕にしている。これにも慣れたもので、名前は持っていた本を読むことにした。

本を読みはじめてまもなく、下からの視線を感じた。
いつものように寝ないのかと思いつつも、本を進める。しかし、本を読もうにも視線をずっと感じて集中出来ない。視線が気になって本の内容が頭の中に全く入らない。

「……なんなんですか」
「気付いていたのか」
「そりゃ気が付きますよ!」

朗らかに笑うシンドバッドに名前はイラッとしつつも、なんとか心を落ち着ける。そうしている内にシンドバッドが読んでいた本を取り上げ、栞を挟んで名前の傍に置いた。

「俺がいるのに、本を相手するのは無しだ」

どうやらこの王様は本に嫉妬したらしい。心が狭いにも程がある。

「……バカですか」
「名前バカだからな」

愉快そうに笑うシンドバッドに名前は溜め息を吐いた。


06.視線
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お題:)“確かに恋だった”「それは甘い20題」
2013/02/06 緋色来知


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