「あれ、店長だけ?」
「おや、まるで私だけではいけないような言い方をしますね井崎君」
「兄弟達は?」
カードキャピタルに入った森川と井崎はカウンターの中のシンを見て首を傾げて、店内を見て更に首を傾げる。
カウンターにはこの時間にはクラスメートのアイチの姉ミサキがいるはずである。
そして店内には全員揃うことはあまりないけれどトシキとアイチ、カムイの誰か一人はいつもいるのに三人ともいない。客はいるからいつもの通りに賑わっているが、どこか違う気がした。
「今日我が家はすき焼きなんですよ」
「すき焼き?」
「我が家は育ち盛りが沢山いるので肉は沢山買わないといけないのですよ」
森川は意外と食べるトシキやカムイ、ミサキを思い出す。その中で一人アイチは少食だが。
「数日分の食材を買いに行ってくるとアイチが言うとカムイがついていくと言い出して」
アイチは新田家では家事担当らしく、毎日持ってくる弁当はアイチの手作りだ。
そして末っ子のカムイはアイチを慕っていて、よくアイチの後ろをついて回っている。
「その話を帰ってきたトシキとミサキに言って、ついでに米をずっと買い忘れていると言ったら二人とも店から出て行きまして」
#04 すき焼きA上
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110302 緋色來知
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