HAPPY HALLOWEEN!
※グダグダです
今日6時ちょうどに、アジトにきてくれ
そんなメールが来たのは、私がお昼ご飯を食べている時だった。
「6時ちょうど・・・ちょうど?」
わざわざちょうど、と指定するメールに私は心の中で首を傾げた。
今日はハロウィンだし、みんなの分のお菓子を作ったから、持って行こう、と思っていた。
お昼ご飯を食べたら行こうと思っていたのだが、何か用事があるのかもしれないし、言われた通りに行こう。
そう考えて、私は家で本を読みながら過ごすことにした。
スマホを見ると、6時少し前を示している。
ちょうどに、とのことだったから、ぴったりにアジトに入ろう、と思って扉の前で鍵をさしこんだまま待つ。
「・・・3、2、1!」
時計を見ながらカウントして、ガチャっと扉を開ける。
思っていたより静かだから少し驚いた。
廊下を進んでいくと、リビングのドアが開いて、
「HAPPY HALLOWEEN!!」
と、言いながらカノが飛び出してきた。
その後からキドとマリー、モモが着いてきて。
モモはシンタローを引きずっていた。
「さすが柚月だな。時間ぴったりだぞ」
「柚月ちゃん、見て見て!みんなのお洋服、私が作ったんだぁ!」
「ベニ鮭ちゃんなんだよ!」
キドはクールな感じの吸血鬼、マリーは可愛らしいアリスの格好だった。
モモは・・・うん、ベニ鮭ちゃんだった。
「カノは?何の格好なの?シンタローは・・・ゾンビ?」
「吸血鬼だよー!キドとお揃い!」
黒いマントをつけたカノはなかなか怖い感じがする。
シンタローはメイクとかはしていないけど、元からある隈とボロボロの服でゾンビらしかった。
そうとう仮装するのが嫌だったらしく、違う方を向いてため息をはいていた。
「さあさあ、ご飯食べようよー!」
カノの言葉でみんながリビングに入っていく。
「ほーら、柚月も!行こ!」
後ろにまわったカノに背中を押され、リビングに入ると。
「わあ・・・すごい!!」
キドやモモたちがテーブルにほとんどの料理を並べ終えたところだった。
いつもよりだいぶ豪華な料理に、張り切って作ったのだ、ということがわかる。
ふと見ると、ソファーのところにいつもの緑色のつなぎの塊がある。
「せ、セト?」
「・・・・・・・・・・うぅー・・・・・」
「・・・・・どうしたの?」
唸った緑色の塊は、私が声をかけるともぞもぞと動きだした。
周りを見ると、カノはお腹を抱えて肩を震わせながら笑っていて、マリーは期待に満ちたようなキラキラした目でセトを見つめ、キドは苦笑しながらカノをひっぱたいている。
それ以外も困ったような、呆れたような顔をしていた。
「セトー?」
もう一度呼びかけてみると、フードをかぶったまま顔をあげた。
なんだか拗ねたような顔をしていて、少し心配になる。
がしかし、この身長で、拗ねているセトはすごく可愛くて、ずっと見ていたくなる。
「あのね柚月、セトはマリーが作ってくれたやつだからって、つけたんだけど、途中で恥ずかしくなっちゃったんだよ!」
「ちょっ!カノ!!」
慌てて叫びながら、立ち上がったセト。
「え、なに?なにつけてるの?」
「い、いいいや、ななんもないっす「えいやっ!」わぁーーーー!!!なにするんすかぁ!!」
カノが後ろからセトに飛びついて、フードをひっぱって外した。
その頭の上にあったのは、耳だった。
犬の。
「かわいい・・・・・!!」
思わずつぶやいてから、ああ、やってしまったな、と思った。
固まって、首から上をぼんっ、と音がするんじゃないかってくらいの勢いで真っ赤にしたセト。
そんなところも可愛いなぁ、なんて思いつつ、また言ったら絶対大変だろうから、必死に我慢した。
当分そのままだろうから、放っておくことにして。
「さすがマリーだね!」
「でしょでしょ!!がんばったんだぁ!」
「うんうん!よくやった!!」
マリーを褒めて、それから中断されていた夕飯の支度を手伝う。
準備が終わって、まだセトは顔を赤くしたままだった(カノはまだ笑っていた)ので、キドが席につくよう促す。
まだ恥ずかしいのか目をそらしていたけど、
「「「いただきまーす!!」」」
カノやモモやマリーが言うと、静かにいただきます、と言ってみんなと同じように食べ始めた。
料理はどれもおいしくて、みんなすごい勢いで食べて行く。
「いやぁーおいしかったね!ごちそうさまでした!」
「「「「ごちそうさまでしたー!」」」」
「・・・・・ごちそうさまでした」
セトはすっかり元通りで、シンタローはいつも通りのテンションだったけど、ご飯おいしかったから元気になっていた。
「あ、そーだ!Trick or Treat!!」
食器も片し終わって、それぞれ自分の定位置であるソファーやら床やらに座ったとき、カノが思い出したように言った。
「あ、わ、忘れてた!私お菓子作ったの!持ってくるね!!」
「マリー、転ぶなよ」
慌てて部屋に向かったマリーに、声をかけるキド。
それを見てまた1人笑いだすカノ。
微笑ましいいつもの光景。
マリーが戻ってくるまで待って、それから私もお菓子を渡そう。
「お、お待たせっ!」
「おおお!!何作ったのー?」
「えへへ、パイ焼いたんだぁ!」
可愛らしくラッピングされたお菓子をみんなに渡すマリー。
「私も、クッキー作ったんだよ」
「わぁー!おいしそう!」
マリーからもらったのを持ったまま、トリックオアトリート!、と言いながら寄ってくる。
みんなに渡せたかな、と思っていたら、まだ1つ残っていた。
ふと顔を上げると、セトが前に立ってて、
「その・・・・・トリックオアトリート」
目を逸らしたまま、耳だけ赤くして、ぼそっと言った。
「はい、お菓子をどうぞ?」
お菓子を差し出しながら言ってみると、嬉しそうに受け取ってくれた。
少しからかおうかな、思いついて。
「セト、トリックオアトリート」
「・・・・・・・・・・え?」
大きな目をぱちぱちと瞬かせて、ぽかーんとした。
ちらっとみんなを見ると、キドやシンタローまで必死に口を覆って笑いを堪えている。
「な、なんで俺だけ!?」
「ふふ、ほーら、お菓子をくれなきゃいたずらするぞー?」
「え、ええぇ・・・・」
困り果てた顔をしていて、少しかわいそうになってきた。
よし。
「さあセト」
「・・・なんすか?」
「しゃがんで?」
目の前に立つ、何されるかわからなくて不安そうなセトに言うと、膝立ちになってくれた。
いつも見あげているのに、見下ろしてみるとなんだかおかしな気分だ。
上目遣いになってる。
いたずらは何をするか、実はだいぶ前から決めていた。
せっかく犬の耳がはえているのだから(マリー作)、
「・・・・・・・・・・柚月・・・・・?」
「んー、なに?セト」
「・・・・・・・・その手はなんすか・・・・・・?」
「・・・・・頭を撫でている?」
頭を撫でるしかないな、と思ったので、耳だけでなく髪を梳くように撫でていた。
聞かれた通りに答えると、ずっと我慢していたのだろう、カノが吹き出してものすごく笑っている。
いつもは注意するキドや怒るマリーまでもがぷるぷると震えながら笑っていた。
どんどん真っ赤になっていくセトを見ていると、おかしくなってしまって、ついには私まで笑ってしまった。
「うぅー・・・ほんとなんなんすか、もー・・・」
「ごめん、ごめんねーセト!」
「はははっ、ほんと最高だよね!柚月とセトのやりとりは!いつ見てもおもしろい!」
私がまたもや拗ねてしまったセトに謝っているのに、カノはまだ笑っていた。
モモとシンタローも楽しそうにしていて、それを見たセトは苦笑していたけど、本気で嫌がっているわけではないから、良かったかなぁ、なんて思う。
私がセトを見ると、セトもこちらを見ていたようで目が合う。
照れくさくなって笑うと、セトも微笑んでくれた。
今日、ハロウィンパーティーに呼んでもらって、キドの手作り料理を食べて、マリーの手作りのお菓子、モモが買っただいぶ個性的な飴などなど、交換して。
セトにいたずらをして。
騒がしかったけれど、楽しいパーティーも終わり。
こういう行事が終わるときはいつも少し寂しい。
「さーて、帰ろうかな!」
「ああ、もうこんな時間か」
「気をつけてね!!」
「うん!またね、みんな!」
挨拶をして、玄関まで向かうと、後ろからセトが追いかけてきて、
「お、送るっす」
と言うから、振り返ると、セトの後ろの方からカノが覗いていて笑っていた。
「ん、じゃあ、お願いします」
靴を履き終えた私の隣で、靴を履き始めたセトにバレないように、カノに手をふる。
片手で口を覆ったまま、手を振り返すカノに、相変わらずだなぁ、と思いながら向き直ると、セトはもう扉を開けるところだった。
「行こっか」
「うん!」
2人で並んで、もらったお菓子を食べたり、話しながら、家まで送ってもらった。
「来年は、絶対お菓子用意するっす!」
ぐっと拳を握って言うセト。
「えー?いいよ、用意しなくて」
「な、なんでっすか!」
「来年のいたずら、今から考えておくから!」
だから
「楽しみにしててね、セト」
***********
ごめんなさい
遅れた上に途中で方向見失ってしまい、
無理矢理終わらせた感満載になってしまいました・・・・・
ほんとにごめんなさい!
途中みんな空気になってますよね・・・・・
すみませんでしたぁぁ!!