甘い…甘い…甘い…
2人だけの世界
赤、青、黄色に輝くのは
一夜限りの
wonderland
『君を魔法の世界へご招待』
〜sugar dream〜
街中には雪が舞い、屋根や足元にうっすらと、白いじゅうたんを敷き詰めていく。
木々や街並みは、きらびやかな電飾で輝いている。
一歩外に出れば、息は白くなり、冬の香りがツンと鼻をかすめる。
俺は、不器用に編まれた、けれど…とても暖かいマフラーに顔を埋める。
クリスマスイブまであと二日
去年のクリスマスはお互いに任務で会えなかった。
決してロマンチックではなかったが、一月遅れで届けられた、手紙とマフラー。
包みを開けた瞬間に、手紙の宛名を見なくても分かる、愛しい彼女の香り。
毎日逢いたいと願うのは、遠い砂の姫様
「テマリ…」
そお呟いた、ため息混じりの言葉は、白い息と共にクリスマスソングが流れる街中に掻き消された。
あれから一年
大事にしまっておいたマフラーは俺自身の香りに変わっていた。
最後にテマリに会ったのは夏の会議の時以来だ。
だが、今年のクリスマスは去年とは違う、なぜなら一月ほど前に文が届いたからだ。
その手紙には、この寒空の下、足場の悪い中で、なぜ、こんなにめんどくせぇ季節に街中まで出てくる事になったのか理由が記されていた。
その手紙の内容とは…
『久しぶりだなシカマル。クリスマスイブの日は空いているか?我愛羅が特別休暇をくれたんだ、今年のクリスマスは一緒に過そうな…テマリ』
几帳面で綺麗に記された短い手紙。
テマリらしい、他人からみれば淡白に感じるかもしれないが、普段手紙のやり取りもしない上に、デートの日にちを前もって決めたりしたことなんてない
わざわざ、手紙に書いて送ってくれる所を考えると、テマリも俺と同様に、早く逢いたいと思ってくれているんだと自惚れてもいいだろうか
そんなに、俺に会う事を心待にしてくれているテマリに、去年一緒に居れなかった分も無くしてしまうぐらい、最高な1日にしてやりたいと思い
今の状況に至るのだが…
正直どうしていいかわからねぇ…
何度かの季節を共にしていると、大概のものはプレゼントしてきたし、印象も薄れてしまう
いのやサクラにも相談してみたが、いまいちピンと来なかった。
いのが提案したものは、手作り料理でフルコース!
というものだったが…
IQ200の頭を降る回転させて、色んなパターンを想定してみるが、かなりリスクが大きい
今まで家事の手伝いなんてして来なかった俺には、料理を作る事の前に、野菜の皮を剥く所、調味料や調理器具の場所の把握から試練が始まるわけだ。
それに、クリスマスまで後二日…
どこの飲食店でも、食材を巡って火花を散らしている。
普段イベントごとには無関心だが、今回だけは成功させたいのだ。
「はぁ…めんどくせぇ…」
空を見上げても分厚い雲で覆われている。
「さみぃ…」
俺は冷えた指先をポケットに突っ込みながら、赤くなった鼻を啜り足を進める。
「…ん?」
ふと、視線を泳がせた先に視界に写った一枚のポスター
「ありかもしんねぇ…」
口角を上げながら、誰にも聞こえないような声で呟いた。
する事さえ決まってしまえば、あとは行動あるのみ
俺は、柄にもなく浮かれながら材料をかき集めた。
足早に家路につくと、前方からよく見慣れた奴があるいてくるのが見えた。
「やあ、シカマル!…おつかい?」
「おぅ、チョウジ別におつかいじゃねぇよ」
俺は笑いながらそう答えた。
チョウジは不思議そうな顔をして問いかけてきた。
「シカマル、そのお菓子とろうそく何に使うんだい?今はハロウィンじゃないよ?」
「あぁ、ハロウィンじゃねぇよ。クリスマスにつかうんだ」
「ふぅん…」
あまり意味は分からないみたいだったが
「シカマルが考えた事ならきっと上手くいくね」
と言って、用があるからと街中に消えていった。
気が付けは日が暮れていた。なんせ、こちらも時間がない、俺は足早に帰宅した。
幸運な事に、親父たちは少し早いクリスマスということで、5日間の旅行を満喫中なので、家は自由に使えるのだ。
俺は、晩御飯を終え自分の用事を済ませた後
クリスマスイブに向けての、準備に取りかかった。
まずは買ってきたものを開封して、頭の中で何度も計算してきたように、段取りよく仕分けしていく
料理はできねぇが、力と応用力には自信があるし
人付き合いは不器用だが、細工をしたりする面では、そこそこ器用な方だと思う
俺は夜通し作業に没頭した
フライパンでザラメをイブしたり、棒つきのキャンディに抹茶を振りかけたり
端からみれば、子供のイタズラの用に見えるだろう
眠い目を擦りながらのタイムトライやるだ。
テマリに喜んで欲しい、一心で…
いつの間にか眠ってしまっていたようで、気がつくと昼過ぎになっていた
「ヤベッ!」
夜中の3時過ぎまで作業していた事は覚えているが、きっとそのあと眠ってしまったのだろう
タイムリミットまであと20時間
俺は急いで作業を進めた。
無心でやりつづける事8時間…
時計の針は夜の8時半をさしていた。
「ふぅ…やっと終わったぜ…なんとか間に合ったな」
そこから、一息ついて次は片付けが待っている。
作業に没頭していたあまり、とても客人を招待出来る部屋の状況ではなくなっていた。
大方の片付けを終えた俺は明日のシュミレーションを3回したあと眠りについた。
翌朝9時
約束の時間通りに玄関のベルがなる
俺はその音に飛び起きると、急いで玄関へ向かう
ドアを開けると、ずっと待ち続けた最愛の人
今日は任務がないので私服で俺の目の前にいるテマリ…
半年ぶりに会うテマリは一段と綺麗になっていた。
くすんだピンク色の柔らかい質感の着物に、淡い落ち着いた紫の古典調な柄が施されていて、所々ポイントになる刺繍が施された赤い帯を巻いている
着物の丈は長いが歩くたびにチラリと見える足が、俺の鼓動を速くさせる。
いつもは4つに縛っている髪を一つに纏め赤い和柄のリボンでくくっていた
そのリボンは間違いなく去年、俺がテマリに渡したクリスマスプレゼントだった。
俺の胸は強くなりだしていた。
それを悟られないように、なるべく平然を装う
「久しぶりだなテマリ…とりあえず中入れよ」
「あぁ、お邪魔するよ」
テマリは笑顔でそう答えた。
俺はとりあえず、自分の部屋にテ%8