見てしまった。
「あの…私」
私は見てしまったのだ。
「ま…前から奈良先輩のことが…」
シカマルが告白されているのを。
最近、シカマルはモテているようだ。あいつを見る度、周りを女が囲っているからわかる。
それも全員、年下の後輩。
皆、目をハートにして「奈良先輩奈良先輩」と媚びを売る。なんだかハエのようだと思った。
それを何食わぬ顔で、しかしめんどくさそうに対応するシカマルもシカマルで、なんだかおかしくて笑ってしまった。
そして先程のこと。
いつも宿まで迎えに来るシカマルが遅いと思い、外に出てみれば、薄暗い路地裏で奴が告白されている所を見てしまったのだ。
「わりぃ。」
シカマルはそれだけ言って断った。
彼女の私として、もう一言二言言ってほしいと思ったが、そうはいかなかった。私とシカマルは付き合っていることを隠しているからだ。
安心したような、物足りない感情が胸の内をうずまいている。
それは、今のあのシカマルに媚びを売るくノ一共を見ているからでもあるかもしれない。
私とくノ一、どちらのほうがシカマルを好きだろうか考えてみた。
「………。」
なんだかあいつらは、シカマルを表面上しか見ていない気がしてならない。数日したら飽きてしまうんじゃないだろうか。
もし付き合ったとしても、シカマルがすぐ捨てられるんじゃないかと逆に心配した。
そう考えると、あぁ、本当にハエのよう。
私はそいつらからシカマルを離したくて、大声で奴の名を呼んだ。
「シカマル!」
途端にシン…と静まる女達。皆目をぱちくりさせて私を見ていた。
私はそれを無視して、シカマルに近づいた。
「何してんだシカマル。もう帰る。私を送れ。」
「あ、おぉ。」
少し嬉しそうにシカマルは返事をした。
二人並んで歩いていれば、後ろからくノ一達の視線を感じる。
私はシカマルの腕に、自分の腕を絡めた。自分の胸まで押し付けて、シカマルにぴったりくっつくように。
「お…おい…テマリ。」
私は何も答えなかった。もう付き合っているのを隠すのなんて、馬鹿らしかった。後ろの奴らに見せ付けてやりたい。
シカマルの顔は真っ赤に染まっていた。
木ノ葉の大門前で、私は足を止めた。
シカマルを見ると、相変わらず顔が真っ赤だ。腕を組んだことがそんなにも恥ずかしかったのだろうか。
「ガキ。」
「うっせ……。」
木ノ葉の大門には、お馴染みの門番がいる。シカマルの腕を乱暴に離した。
「…なんでさっき…。」
シカマルはモゴモゴと口ごもった。シカマルの言わんとしていることは分かっている。
「あいつらの前で腕を組んだかってか?」
自然と口角が上がる。笑っていることに、自分で驚いてしまった。しかし、シカマルが顔をしかめているのを見る限り、私はいい笑顔をしているとは思えない。
シカマルは何も答えなかった。
「自分で考えてみろよ。」
私から目をそらし、頬を指で掻くシカマル。こういうときは、言いにくいことがあるときだというのを私は知っている。
シカマルは深呼吸をした。
「……もしかしてあれか。」
「ん?」
「あんた、……嫉妬した?」
「!」
さっき「自分で考えてみろ。」と言ったのを、少し後悔した。なんだか恥ずかしくなってくる。ああもう、シカマルの馬鹿…。
「ふん!」
もう一度、乱暴にシカマルの腕を引いた。先程のようにぴったりくっつけば、お馴染みの門番がこちらを囃し立ててくる。
「テ…テマリ…。」
「今日は一人でいたい気分じゃない。もう少し私と一緒にいろ。」
「えっ。」
シカマルと腕を組んで、帰路につく。
シカマルに私の気持ちを知られてしまった。そうなると、シカマルを独占したいという気持ちが沸き上がってくる。今の私には、こんな気持ちはどうしようもなかった。
今日はシカマルと一緒に宿をとろうか。
密かに指と指を絡ませて。あの、ぽかんと口を開けて私達を見ていたくノ一達を思い出して笑った。
そんな私は、悪どい女なのだろうか。
「あいつらにこんな男は勿体ないな。」
「なんか言ったか?」
「!いや、なんでも…。」
お前はずっと私のもの。
END
完成いたしました、水崎はのん様リクエスト、「テマリさんが急にモテだしたシカマルを独占したくてわがままをいう」でした!
何を書きたいのかが分かりずらい文章ですみません!要するにグダグダですみません!いつものことなんですけどね笑
強気なこと言ってるテマリさんですが、結局はくノ一達に嫉妬してるんです。
水崎はのん様ありがとうございました!これからもよろしくお願いします!