「おい、背中は任せたぞ。」
奴は言った。
「ああ。」
私は相槌を打って、自分の武器である扇子を構える。
「せいぜい私より早くくたばらないことだな!」
既にボロボロになった体。分かっているがそんなの無視だ。
今、私はこいつと二人きり。同じ部隊の奴らと離されてしまったからだ。
私はいつものように奴に憎まれ口を叩き、私達を囲んだ敵に扇子を振りかざした。
私達は全員すぐに倒した。幸いただ数が多いだけで、力は全くない奴らだったのだ。私らにとって敵ではなかった。
「退がれ!」
それから間もなくして。
先程とは一変、私達は不利な状況におかれる。奴と共に敵の攻撃をよけた
……のだが。
「っあ!」
「テマリ!」
不覚にも、私は自分の足を負傷してしまった。飛んできたクナイが足に当たってしまったのだ。
「う…。」
怪我したところが、じんわりと熱を持ち出す。途端に赤黒い血液が染み出した。私はすぐさま岩の陰に隠れると、腰のポーチから包帯を取り出した。奴が心配して駆け付ける。
「おい、大丈夫か?」
「…私に構うな。ここではそんな暇ないぞ。」
「でも「私の言うことを聞きな!他人の心配して自分の命を落とすことだってあるんだぞ!」
「………ああ。」
少し言い方がキツかったのかもしれない。しかし、私は本当の事を言ったまで。奴に死なれちゃ嫌なんだ。しかも、それが私のせいだとして…。
パチンと自分の頬を叩き、気合いを入れ直す。奴を見ると、顔つきを変えて向こうの状況を見ていた。
この戦場で、二人きりと言うのはなんとも心細い。こっちは二人なのに対して、向こうは何千何万というような敵。…白ゼツ、とかいうやつらしいが。
おまけに私は足を負傷しているのだ。
ズキリと足が痛み、もう立っていられるのがやっと。私は自分の体に嘘をついて戦った。
限界が来て転んでしまったのは、敵も少なくなって仲間のいる場所に近づいたときだった。
「っ!」
やばい。足を見ると、血が滲んでいて先程包帯を巻いた部分が真っ赤に染まっていた。
転んで気づく、自分の限界。意識が朦朧としていて体が全く動かない。
向こうから白ゼツがこちらに向かってくるのが見えた。
ああ、もうここまでか…。
そう思い、目を閉じたその時だった。
「おい、大丈夫か!」
「!」
その声に驚き、目を見開いた。目の前には奴の姿があったのだ。
「お…お前…。」
私に背を向けて、敵を倒していく。その背中は何故か頼もしく見えて、私はずっと見入ってしまった。
「!」
「うおああっ!」
いきなり奴が攻撃した白ゼツが爆発した。どうやら白ゼツの中に、起爆札をしこんでいたらしい。遠距離タイプの奴も喰らってしまうほど、強力な起爆札。
爆発は奴を巻き込んだ。
私は我を忘れていた。どこに余っていたのか、大声で叫んで。
「シカっ……!」
返事なんか返ってこない。
「そ、そんな…。おい、嘘だろ。」
力を振り絞り、奴の方へ近づく。立っているのもやっとなのに、不思議と辛くなかった。
震える手を感じながら座り、奴の頭を膝に乗せる。頬を一撫でしてみる。
しかし、何も反応を示さなかった。
「嫌だ…お前らしくない。目を覚ませ。覚ませよ…。シカマル…。」
私のせいでシカマルが…。私が怪我なんかするから…。
胸が熱くなるのを感じながら、視界がぼやけていく。シカマルの顔に、ポタポタと私の涙が落ちていった。
「…?」
その時、何かが私の頬に触れた。涙で前が見えなくて目を閉じているから何なのかわからない。ただ言えることはとても暖かくて、安心を覚えるものだということ。
それは私の頬を何度か撫でると、次に涙を拭った。
この感じ…今も覚えている。少し泣いてしまった日は、シカマルがいつもこうやって優しく拭ってくれたから。
私はゆっくりと目を開けた。
「俺のこと、もう泣き虫くんなんて言えねーよな?」
私の目の前にいたのはいつもの顔で微笑んでいるシカマルで。
なんだよ。こっちはすごく心配したんだぞ…。
シカマルが無事だということに安堵して、緊張が解けた。
「あ……うあああっ…」
再び涙がとめどなく流れる。シカマルは優しく笑うと、私の両頬を持って自分の顔に近づけた。
「無事でよかった。」
そういうシカマルを、おもいっきり抱きしめてやった。
END
大変長らくお待たせ致しました、なみ様リクエスト「第四次忍界大戦でシカマルがテマリを助ける」でした!
本当に…お待たせして申し訳ございません。そしてこのクオリティー…。よくわからなくなってしまいました。ごめんなさい!
なみ様に限り批評はなんなりと受け付けます。
なみ様ありがとうございました!これからもよろしくお願いします!