シカマルが告白してきた。

シカマルに好意を抱いていて、純粋に嬉しかった私はすぐに承諾した。

そしてもう付き合って三ヶ月。

幸せ。……皆はあいつと付き合えて幸せだと思っているだろう。しかし、実は違った。私には不安に思っていることがある。

それは…シカマルが何にもしてこないということだ。


こんなことを思うのは欲なのかもしれない。しかし無理もないだろう、付き合って三ヶ月も経っているのにシカマルはキスはまだしも、手だって繋いでくれない。

里が違ってあまり会えないからかもしれないと考えていたが、なんか違う。あいつは私と会う度に甘味処に連れていって、甘栗でも食わせていればいいとでも思っているのだろうか。

それとももしかして私のことはどうでもいいだとか?しかしそれじゃあ告白してきたのはなんでだ。

……意味がわからない。

今、私は任務で木ノ葉にいる。いつものように木ノ葉のカリキュラムを学びに来たわけだが、シカマルは別任務でいないとのことで他の忍が案内役だった。

「ここでいい。」

宿の近くの甘味処で案内役の忍と別れた。無意識にシカマルを思い出し、ため息が出る。

甘いものが欲しいな…。

そう思って甘味処に入ろうとすると、見知った人影を見つけた。

「あ…ヒナタ?ヒナタじゃないか?」

「テ…テマリさん!こんにちは…。」

おどおどとしながら挨拶してきたヒナタ。

ヒナタとはあまり話したことはない。しかし思うにこいつはいつも控えめだし大人しそうな性格だ。

私の頭の中に、シカマルのことを相談してみたらどうだろうかという思いがよぎった。私はこのことを誰かに相談したくてたまらないでいたのだ。

こいつは口が堅そうだし、いいアドバイスをしてくれるかもしれない。

「ヒナタ、ちょっといいか?お前に相談したいことがあるんだが。」

「えっ…わ…私に!?……どうしたんですか…?」

「お前は…もし付き合っている人が何もしてこなかったらどう思う?何したらいいと思う?」

するとヒナタは顔を真っ赤に染めた。頭から湯気が立ちそうな程赤い。

「わ…わわ…分かりませんそんなの!私…好きな人の隣にいれるだけで幸せですから……。」

ヒナタは言い切った後にますます赤くなった。

…私はやはり欲深だったかもしれないな。ただ好きな人と一緒にいるだけで幸せ…か。

「そうか…ありがとうなヒナタ。」

「いえ……もしかして、シカマルくんのことですか?」

「ん…まあ、そんなとこだな。」

「が…頑張ってくださいね。テマリさん。」

ヒナタは笑顔で励ましてくれた。

別れた後、甘味処で団子を食べた。その後、店を出ようとしたとき。

「テマリさあん!」

「!」

目の前に現れたのはいの。毎度お馴染みの笑顔で話しかけてきた。

「ね!テマリさん今困ってるでしょ?」

「は?」

「シカマルのことで。」

驚いた。なんでいのは知っているんだ。もしかしてヒナタが話したのか?

「お前、なんでその事…。」

「やっだあ、テマリさん!私の事甘く見ないでくださいよねー!私にかかればなんだってバレちゃいますよ!」

なんだと…。

「話は分かってます、そりゃあ不安になりますよねえ。彼氏に何にもされないとなると…。」

「い…言うなバカ!」

「まあまあ。シカマル大好きなテマリさんに、私がアドバイスしますよ!」

ああ恥ずかしい…。何故こいつは素で「大好き」とか言えるんだ。

「な…なんだそれ。」

「ふふふっ。簡単です、シカマルを押し倒しちゃえばいいんですよ!」

「おっ……。はあ!?」

いのは口に手をあて、悪戯を考える子供のように笑った。

「そうすればシカマルだって…!テマリさんスタイルいいし美人だからイチコロですよ!」

「お…お前…!!」

今度は両頬に手をあてキャーキャー騒ぐいのを前に、一瞬想像してしまう。妙にリアルに想像してしまい、恥ずかしくて顔を隠した。

「(テマリさん可愛い。)…そういえばシカマル、もう帰ってますよ。テマリさんなら大丈夫ですよ!私応援してますから!」

そう言い残し、いのは嬉しそうに走っていった。まるで嵐が過ぎ去ったようだ。ドッと疲れがたまってしまった。

宿に向かう途中、サクラにも会った。そしてまた驚いたことに、サクラの第一声が「聞きましたよテマリさん。」。

「…何をだ。」

だいたいめぼしはついている。自分の顔が引き攣っているのが嫌でも分かった。

「シカマルとのことです。いのから聞きました。」

あいつ…!

「無理ないですよ、そんなこと私だって不安になりますから。」

「……。」

「やっぱりここは、こっちから気づいてもらえるようにしたほうがいいですよ。そうですね…肩に触れるちょっとしたボディタッチとか…あと直接言葉にしたり。」

「ああ…。」

真剣に考えてくれるサクラに、少し心が和らいだ。しかし次の瞬間、またサクラの言葉によって掻き消されてしまう。

「あまり気にしないでって言うと無理かもしれませんが…いのがこのこと、皆に言い触らしてましたよ?」

いのめ…!私をからかうのもいい加減にしろ!

そんな思いが顔に出ていたのかサクラは苦笑いをして去っていった。



ああ、イライラする。シカマルのこともあるがさっきのことでもイライラする。こんなことなら、誰にも相談するんじゃあなかった。

道中、「おいろけで攻めろ。」と言ってきたナルトとキバを扇子でぶっ飛ばし、宿に向かう。

やっと宿に着いたときだった。

「お、久しぶりだな。」

「シカマル…!」

悩みとイライラの源でもある男にばったり出くわした。

シカマルは私の気もしないでヘラヘラ笑ってやがる。

「どうだ?これから甘栗甘でも…」

またそれかこいつは!

「シカマルちょっと来い!!」

「はっ!?」

ぐいっとシカマルの腕をひっぱって、宿の、とっていた部屋を目指す。

――隣にいれるだけで…
―――押し倒しちゃえば
――ボディタッチとか直接言葉にして…
―――おいろけで攻めろ!!

あいつらの言葉がぐるぐる回っている。

あああめんどくさい!

「シカマル!」

強引にシカマルを部屋に入れて、床に押し倒した。逃げられないようにシカマルの腹にのしかかる。シカマルはいきなりの展開に目を大きく見開いた。

「な…お、おい!あんた「お前の事が好きで好きでたまらない。」

「…!」

「付き合っているのに…お前は手も繋がないしキスもしない。正直不安だ…。」

目の前が段々霞んでくる。シカマルはじっと私を見つめて、口を開いた。

「テマリ、ちょっとどけ。」

シカマルの言葉にズキンと胸が痛んだ。何も言い返せなくて、シカマルの言われた通りに上から退く。

「不安に思わせてわりぃ…そんなつもりはなかったんだが。」

目を擦ると、目の前には上体を起こして照れ臭そうにするシカマルがいた。

「いざ付き合ってみたものの緊張してどう接すればいいのか分かんねーし…、あんたのこと傷つけたくもなかった。」

「シカマル…。」

シカマルは私のことを考えてくれていたのだ。それをどう不満だと言えよう。好きなやつに想われて、私は幸せ者じゃないか。

「でもよ、あんたの気持ち知れて嬉しかったぜ。俺もあんたが……んっ…!」

胸の奥からシカマルに対する愛しさが込み上げてきて、思わずシカマルの唇を奪って再び押し倒した。



その後恥ずかしがり屋なシカマルは数日間、私の顔も見れないほどのヘタレぶりを発揮することとなる。

END

完成致しました、あきまるさんリクエスト、シカマル大好きなテマリさんでテマシカです!
…ていうか、お題に沿えてません。そしてクダグダです。ごめんなさい!最初のヒナタからナルトとキバの部分はいらなかったかなあと反省しています。

あきまるさんありがとうございました!



おまけ

「シカマル。」

「……。」

「おい。」

「………。」

この前からずっとこうだ。シカマルは私の顔を見てくれないし、返事も返してくれない。

「シカマル。」

シカマルの態度に我慢できなくなって、手をぎゅっと握るとシカマルはビクッと震えた。

「……な…なんだよぉ…!」

「!」

照れて真っ赤になったシカマルがすごく新鮮で。

(……可愛いかもな。)

いつもならここでシカマルをからかうところだが、そんなことも忘れて見とれてしまった。

END


肝心のテマシカが少なくてすみません(^-^;
あきまるさんに限り批評はなんなりと受け付けます!
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