よぉ、俺ぁシカクってんだ。

綺麗な嫁さんと可愛い馬鹿息子を持つ奈良家の大黒柱だ!

………のはず。

まあそれはいいとしてだな。最近思うんだけどよぉ、俺の馬鹿息子シカマルに春が来たっつーかなんつーか…最近女の影が見えるんだよな。

現に今、家に女を連れ込んでるんだよあいつ。

実はそれ、俺は誰だか知ってる。砂隠れのテマリって子だ。なんでも今シカマルはその子の案内役を任されていて、よく一緒にいるだとか。

俺も以前から知ってる子だ。いやあ、それにしてもテマリちゃんを久しぶりに見たが、なんともまあ美人に育ってやがる。

俺は母ちゃんが一番だからなんとも思わねーが、あのめんどくさいしか言わなかったシカマルがなあ…。

…息子に女が出来たと分かればほっとくわけにはいかねえ。何、少しからかってやるか。

いるとしたら縁側だな。

俺は茶を乗せたおぼんを手に、縁側へ向かった。

案の定二人は縁側にいた。おーおー、初だねえ。手も握れねえたあ…。

「おいおいシカマルお前ー。テマリちゃんが来てるのに茶も出さねーでどうする。」

「!親父…。」

すげー顔してやがるシカマルのやつ。

「シカクさんすいません。」

「全然気にすんなテマリちゃん!」

なんて会話をしながらさりげなく……。

「よっこらせっと。」

「!」

「………どこ座ってんだよ親父…。」

「あ?なんか文句あんのか?」

あからさまニヤニヤと顔を向ければ、シカマルはより一層不機嫌な表情をした。

だってよ、俺が座ってるところって実はシカマルとテマリちゃんの間だからな。

別に悪気があってやってるんじゃねーんだぜ!

「で、お前ら最近どうなんだ?」

そう聞いて二人を見れば、テマリちゃんは恥ずかしそうに目をそらし、シカマルは俺を睨んできた。

「うるせーな!つーか邪魔なんだよ!」

「!」

…そんな口聞いてお前…。親にたてつこうたぁいい度胸じゃねーか。

こりゃあ、ちょいと懲らしめてやらねーといけねーな。

テマリちゃんに甘えるお前の恥ずかしい姿を影からこっそり覗いて、母ちゃんに言ってやる!

「なんだよつれねーなー。」

上辺では残念そうにしておいてその場を離れた。

廊下の角を曲がり、気配を消して柱に身を潜める。

見てろよシカマル。

そっと覗くと、二人とも茶を啜りながらほのぼのと庭の景色を眺めていた。

「…茶がうめえな。」

「……あぁ。」

お前らは老人か。なんだか落ち着きすぎて年頃のカップルに見えんぞ。……ん?

茂みの中から猫がやってきた。……あいつ、今日も来たのか。日当たりがいいからなのか、よく家の縁側でシカマルと寝てる野良だ。

そいつはシカマルとテマリちゃんに近づいていく。テマリちゃんは気づいて、あ、と声を上げた。

「猫だ。」

「あいつよくここ来るんだよな。」

「野良か?シカマル飼わないのか。」

「もう飼ってるも同然だからよ。それにホントに飼ったら母ちゃん怒るし。」

縁側に飛び乗り、猫はシカマルに頭を撫でられて気持ち良さそうに丸まって寝ている。それを見て眠くなったのかシカマルもそこに寝そべった。

「………。」

「なんだいきなり横になって。寝るのか。」

「ん……。」

「なんかかけるもの持ってきてやろうか。毛布とか…。」

「いらねえ。」

「そうか。」

………さっきから思ってるんだが、なんなんだあいつら。

妙に落ち着いてるっつーか、テマリちゃんも気配り上手いし…。いや、そういう子なんだろうけども。

「ん…ん…」

「!シカマルお前また耳ほじって!そんなことするなといつも言っているだろう。ちゃんと綿棒で…。」

「めんどくせーんだよ。」

「何がめんどくさいだ。ったく、仕方のないやつだな。ほらこっち来い。」

「ん。」

お…おい!おいおいおい!ひ…膝枕で耳かきだと!?

つーかテマリちゃんなんで耳かき用の棒持ってるんだ!まさかいつもシカマルにしてやってんのか…?しかもあんな慣れた手つきで…。年頃のくせしてあいつら自分のしていることに恥らいも何もありゃしねえ!

なんてこった。まるで夫婦じゃねーかお前ら!

あいつらいつの間にそんな関係に。俺だって母ちゃんに耳かきしてもらったことねーんだぞ!

ああくそ、いても立ってもいられねえ。




「大変だ母ちゃあん!シ…シカマルとテマリちゃんが…いつの間にか俺達を超える夫婦にい!」

END



大変長らくお待たせしてしました。陸都あきまる様リクエストでした!

「シカテマ+α、二人は無意識なのに夫婦に見えるシカテマ」というお題を頂きました!

でも…それほど夫婦に書ききれてないですね…。それぞれキャラもなんだか違う気が…ごめんなさい!

あきまるさんリクエストありがとうございました!
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