「俺あんたの事好きかもしんねえ。」
「え…?」
「……あんたは?俺のこと…」
彼女はこくりと頷いた。
テマリと付き合い出して三日目、初めて俺達は顔を合わせた。
出来れば会いたくなかった。柄でもねー、俺に好きな奴ができて、しかも告白するなんて。考えただけでも恥ずかしいし、テマリと顔を合わせるのも怖い。
だからちょうどテマリの案内役が終わった日に告白した。会わなくなって、少し間をあけば恥ずかしくならないとも思ったし。
しかし現実はそんなもんじゃなかった。
ナルトがテマリも含めて皆で集まりたいと言い出したのだ。
そして今現在、俺達同期の忍とテマリは、ナルトの集合で焼肉を食べに来ている。その間俺はチョウジにいい感じに隠れたりして。テマリはいの達女子と話していて一切絡みなし。
テマリに話しかけれる訳がなかった。だって彼女を意識するとパンクしてしまいそうなほど頭がいっぱいになるのだから。
目なんか合えば心臓が止まるかもしれない。
「じゃーなー!」
気づけば皆はもう解散しようとしていた。
俺も足早に家に帰ろうとすると、後ろから肩を押された。…いのだ。
「なんだよ。」
「あんたねぇ、何もしないで帰る気ぃ?」
「は?」
「だから、愛しのテマリさんを送ってやんなさいって言ってんのよ!」
なんて言っていのはニヤニヤ。後ろのキバやサクラもわざとらしくニヤニヤ。
「お前ら…。」
「せっかくテマリさんと付き合えたんでしょ!あんた一言もしゃべってないじゃない。だからほら!」
もう一度背中を押し、いの達は帰っていく。
つーかあいつ、いつの間に俺がテマリと付き合ってること知ったんだ。
俺は押されたせいで少しよろけ、前に出た。テマリの足元が視界に入る。
…顔が見れない。
テマリと二人きりだと思うと、頭が働かなくなる。何も考えられない。
「…ひっ…久しぶりだな。」
想像した以上に声がひっくり返った。らしくねえ、俺。つーか別に久しぶりでもねーよ。
変なこと言っちまうかもしれねえ。
「あ…え…と…どうする?まだ昼時だし…二人でどっか…行くか?」
「……いい…。宿まで送ってくれ。」
テマリの声が俺をこそばゆくする。
勇気を出して顔を上げると、テマリも下を向いていた。しかも顔は真っ赤。
え、俺と一緒?
胸がきゅうっと締め付けられる。苦しいんだが、嫌な感じはしない。むしろ心地いいっつーかなんつーか…。
やり場のない思いを、ため息で追い出した。
「じゃ…送ってくからよ。行こうぜ…。」
テマリの歩幅に合わせて歩いてやる。それはいつものこと。しかし、いつもより進むのが遅いように感じて、また俺を緊張させる。
「あっ」
「!」
テマリと俺の手が当たってしまった。
咄嗟に手を引っ込め、ポケットに手を入れる。
「わ…わりぃ…。」
「いいよ…気にしてない…。」
ああ、かっこつかねえ。こんなつもりはねえのに。
そんなやりとりをしていれば、テマリの宿についた。
早く帰ろう。
「そんじゃあな。」
「ま…待て!」
「!」
テマリのほうを振り向くが、まだ顔が見れない。何かしていないといても立ってもいられないから、頭をかいた。
「…なんだよ。」
「その…あの…この前の事なんだが…本当なんだよな?付き合ってるんだよな?」
この前の事って言えば、俺が告白したこと。…やばい暑くなってきた。この場から逃げちまいたい。
「そうだけど…。」
「…!わ…私な、好きって言われたの初めてで…しかもお前みたいなやつに…。」
「……ん。」
「嬉しかった…。」
「……ん。」
「で、さ。この前あやふやな返事しかできなかったから…今もう一回言わせてくれ。」
「………。」
「私もお前が好きだ…。」
言い切った後に、かあっと赤くなるテマリ。反射的に俺も一層赤くなる。
宿の前で、しかも行き交う人々に見られているのに、俺はあまり気にしなかった。なんだかこの世界に俺とテマリの二人しかいないような感覚に捕われる。
「すまないなシカマル…。さっきは付き合ってると思うと恥ずかしくて…お前に話しかけれなかった。」
「いーよそんなの…俺もだったし…。」
「ふふ…。」
今日初めてテマリが笑った。なんだか嬉しくなって、自然とテマリの顔を見て俺も笑った。
「なあシカマル…。」
「あ?」
「まだ帰ってほしくない…。もう少しだけ、お前といたいんだが。」
ホントやばい。
「…………じゃ、甘栗甘にでも…?」
恥ずかしさに口を手の甲で隠しながら、もう片方の手でテマリの手を引いた。
END
匿名様リクエストでした!何をするにもドキドキしっぱなしという素敵なお題を頂きました!
こんな感じに仕上がりましたが大丈夫でしょうか?^^
匿名様何かありましたらなんなりと言ってくださいね!
リクエストありがとうございました!これからもよろしくお願いします!