「あとは頼んだぞっシカマル、テマリちゃん!」

「はいっス。」

んじゃ!と片手を挙げて資料室を出ていくコテツ先輩とイズモ先輩。

俺達はそれを見送り、仕事に戻った。

今、俺は任務でテマリと資料整理をしている。忍育成で木ノ葉のカリキュラムを参考にするため、テマリは木ノ葉に来ていた。んで、俺はその案内役。

五代目の配慮だなこりゃ。



「ふぁ…。」

さっきからテマリは欠伸ばかりしている。少し前テマリにそう言うと軽く睨まれた。

しかしよく考えてみると、この人の欠伸の原因は疲れが溜まっているからなのではないかと思う。

無理もない、たった一人で他国に来て、外交やら何やらを夜遅くまでこなしているのだから。そりゃあストレスや疲れも溜まる。

この人の事だ、無理して働いているんじゃないか。そう思うと、テマリを少しでも休ませてやりたくて仕方なかった。

「おい、あんたそんなに眠いなら少し寝ろよ。あとは俺がやっといてやっから。」

「は?」

「は?じゃなくて素直に休めよ。疲れてるくせに。」
「わ…わかったよ。じゃあ少しだけ…。」

そう言うとテマリは机に伏せた。俺はテマリの分の資料整理に取り掛かる。

仕事がもう少しで終わりそうな頃、向かい側からテマリの寝息が聞こえてきた。

「くぅっ…めんどくせぇ。」

くんっと伸びをする。あと少しでこのかったるい仕事も終わる。

そう思ってテマリを見ると、なんとも気持ち良さそうに熟睡。

やっぱ疲れてたんだなとテマリを見ていると、俺も瞼が重くなってきた。

少しだけ休憩しても、いいか…。…………










「え?」

ハッとすると目の前に暗闇が覆った。

何が起こっているのかわからない。しかし意識がはっきりしてくると、今の状況がなんとなく把握できた。

俺とテマリ、二人して資料室で寝過ごしてしまったのだ。

「なんつーこった…。」

急いで電気をつけた。…鍵は完全にかかっている。どうやら俺達に気づかずに、かけていったらしい。

ちゃんと中確認しろよと思いながら、まだ眠っているテマリを起こした。

「おい起きろ。」

「んん………え!?何だ!?」

「もう夜だぜ。」

「はあ!?」

辺りを見渡して唖然とするテマリ。しかしすぐさま気を取り直して俺に突っ掛かってきた。

「なんでこうなる前に起こしてくれないんだ!」

「俺も寝ちまったんだよ。」

「何してんだこの馬鹿!」

「はいはい…。」

どこからか出れるところはないのか。鍵はかかっているし、部屋はこじんまりとしていてこの建物の奥の方にある部屋だから、窓はない。

つーことは…

「泊まる…か。」

「ああ…。」

テマリと一夜を過ごす。

そう思うと急に胸が苦しくなってきてため息をついた。

「そうだな…腹減ったし、とにかく食料か。シカマルお前、何か持ってるか?」

しかしテマリがなんともなさそうだから余計に胸がつらくなる。

落ち着かせるためにもう一度ため息をつく。

「酢昆布くらいしか持ってねーや。」

「酢昆布か。生憎私は何も持ってない。分けてくれないか?」

「おぅ…いいぜ。」

その時、テマリはくしゃみをした。まあ、さすがに夜だから冷え込むのは仕方ない。それにこの人、半袖だからなあ…。
長袖の俺でも肌寒さを感じるのだから。

そんな薄着で風邪を引かれちゃ俺が参る。俺はベストを脱ぐと、それをテマリに被せてやった。

「すまない…。」

「んな格好してんの見てるとこっちまで寒くなるからな。」

「ふん…。」

何故かきゅうっと締め付けられるのを感じ、俺は酢昆布の箱を取り出した。

「うわ酸っぱ!こんなもんよく食えるよな、お前。」

「嫌なら食うなよ。」

「ぐ…悪かったな。」

二人して少ない酢昆布を食べた。一枚ずつ同じ数だけ食べれるように。

しかし問題は起こった。

「あ。」

酢昆布が一枚だけ残ったのだ。

伸ばした手が重なり、俺とテマリは顔を見合わせる。

触れている指に熱が篭って、咄嗟にテマリから離した。

「あ…あんた食っていーぜ。」

「む、いいのか?シカマル。」

「おぅ。」

「でも……もとはお前のだし悪い。お前が食え。」

「いやでも「いいから食え!」

「…わかったよ。」

んなムキにならないでもいいだろ…。

と酢昆布を食わえた瞬間。

「!」

俺の視界全体にテマリの顔。

すぐにわかった。テマリが、俺が食わえた酢昆布を食べたのだ。

唇がつくかつかないかの距離に、心臓が止まるかと思った。

「何して…。」

「こ…こうでもしないとお前とこんなこと出来ないだろ…。」

「な……。」

恥ずかしそうに顔を赤くして、テマリは言った。一瞬この人はそんな感じの人だっけと思ったが、そうだからこそ少し嬉しかった。

しかし、やはり気まずくなってしまう。沈黙が流れ、テマリは照れを隠すように何かし始めた。

暫くして、最初に口を開いたのはテマリだった。

「シカマル!毛布見つけたぞ!」

そう言ってテマリは嬉しそうに出てくる。なんで毛布がここにあるのか不思議だが。

「なんで毛布がここにあるのか不思議だが…これで寝れるな!」

しかしテマリに渡されたその毛布はたったの一枚。

「だが一枚しかないのがあれだけどな。」

「じゃあ…一瞬に入る………か?」

何言ってんだ俺。こんなもんテマリに渡してさっさと寝ればいいのに。

テマリにも気持ち悪いとか言われるかも。

しかし。

「そうだな…寒いし。」


……きっと俺もテマリもどうかしてる。

テマリの言葉を合図に、俺は腕を引いて毛布の中にテマリを入れた。

テマリはちょうど俺の胸にくっついている。お互い心臓の音が聞こえるんじゃないかと思うくらい辺りは静かで、うるさい心臓。テマリからする甘い匂いにくらくらしてきた。

やべぇー…これ。







バンッ

「ここか!?」

「いた。どこにもいないと思ったらこんなところに…。」

「ったく、五代目がお怒りだぞ。何してんだこいつら。」


翌日、なかなか任務報告書を出さない俺達を心配して探しに来たコテツ先輩とイズモ先輩に見つかり、後日俺達のことはネタにされるのだった。

END



丸様リクエストでした!お待たせ致しました!

そして駄文です!無理矢理感満載です!申し訳ございません。

リクエストありがとうございました!これからもよろしくお願いします!
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