任務で砂隠れに来た。
まあその任務は砂隠れとの外交という安全なもの。だからすぐに終わった。
なのに五代目は俺に三日ほど砂に滞在しろとの命を下したのだ。…理由はなんとなく…いや、はっきりわかっている。
5ヶ月か…。
あの人とそれくらい会っていない。俺もそろそろ恋しくなってきた頃だ。
テマリの家へ行くことにした。
テマリの家は以前一度だけ行ったことがあるからどこか知っている。それに元風影の娘だけあって住んでいる家は大きい。
だから迷うことなく家についたのだが…。
「!」
これまでの積んできた経験から、嫌な予感が俺の頭を遮った。
、
家の門の前に、我愛羅が立っていたのだ。
腕組みをしてずっとこちらを見ているのだ。それが動かないもんだから、尚更怖い。
「我愛羅お前、仕事は?」
「休憩中だ。」
な…何が休憩中だよ…。
顔を引き攣らせながら「へえ」と返すと、今度は我愛羅が聞いてきた。
「お前こそ俺の家に何しに来たんだ、シカマル。」
ああもうダメだ。我愛羅の目がギラギラ光っている。あんなこと聞いたこいつだが、どうせテマリに会いに来たと察知してるだろう。
あいつのあの目は久しぶりに見る。中忍試験の時に見た以来だ…。
「えー…と。」
「まあわかっている。さしずめテマリに会いに来たとかそんなんだろう。」
こいつは表情を変えないから、怖い。
我愛羅は手で印を結んだ。すると後ろの家がみるみる大きくなり、一つの城になった。
「なっ……。」
「テマリに会いたいのなら行け。あいつはこの城のてっぺんで眠っている。」
「はあ!?」
「だが…俺が行かせない!」
何が何だか分からないうちに、我愛羅が背負っている瓢箪から砂が出てきた。
それと同時に、俺の周りの地面がボコボコと柔らかい砂になってくる。これは…やばいんじゃないか。
「砂縛柩!」
「うおおおっ!」
地面の砂が蟻地獄のように流れだし、俺を地の底へ吸い込もうとする。ギリギリのところで遠くに逃げて助かったが、これは奇跡と言って等しい。
俺は城の陰に隠れ、我愛羅を見た。我愛羅はこちらに近づいてくる。奴にはいつもの落ち着きがない。
これはチャンスか?
それじゃあ一旦、分身の術で陽動をして、本体の俺が他の場所からあいつを影で縛り上げようか…。しかしあいつの砂の絶対防御が邪魔をするかもしれない。
ああもうめんどくさい。それならいっそテマリのいる城の中に駆け込んでしまおう。
分身の術を発動して我愛羅の前に出し、その隙に俺が見つからないように城の中に駆け出すと、後ろから「テマリは渡さない!」なんて声が聞こえてきた。
「流砂瀑流!」
そして俺の分身は砂に飲み込まれ、呆気なくやられた。背筋が凍った。
あとは簡単に城のてっぺんに着いた。扉を開けると、そこは綺麗な部屋。さっきまでの戦闘が嘘のように思わせる。
そして俺は見た。カーテンの向こうに横たわる人影を。テマリだ。
こういうのは、キスしたら起きるっつーのが定石だ。
緊張してきたし、こっぱずかしい。しかしテマリに会うためだ。
さっきの疲れもあって、ヨロヨロしながらカーテンに手をかける。
そこにいたのはテマリ……
ではなく。
「!!」
俺をギロリと睨む我愛羅だった。
待ってましたとばかりに俺の体に砂が纏わり付く。それは体全体を覆い、宙を浮く。我愛羅は右手を挙げた。
「や…やめろ我愛羅。」
その右手で拳を作ったら俺は…。
「砂瀑送葬!」
「…シカ…ル」
「シカマル!」
ハッと目を覚ますと、テマリが俺の顔を覗いていた。
「ん……テマリ…。」
「ったく、私のベッドを占領するな!」
ん…?つーことは俺寝てた?それじゃあさっきのは夢か。そういやさっき、テマリの部屋で寝ちまったんだ。つーか…なんつーカオスな夢だ…。
「お前大丈夫か?うなされてたぞ。」
「…変な夢見てた。」
頭に手を当てながらテマリの隣に座りなおすと、「せっかくの逢瀬に…私をほったらかして寝るお前が悪いんだ。」とテマリの腕が俺の首に伸びてきた。
「わるい…。」
「これでチャラにしてやる。」
そう言って艶やかな表情をしたテマリとキスを交わした。
テマリの部屋の扉の向こうで、我愛羅の目が光っていたのに俺らは気づいていない。
END
大変長らくお待たせいたしました、水崎はのん様リクエストでした!
お題は「テマリの家に遊びに行くシカマル」でしたが、すみません…。シカテマあまりなくて…。わけのわからん戦闘シーンを書いてしまい申し訳ございませんでした。
そして夢落ちという笑
我愛羅もキャラ崩壊させてすみませんでした。シスコンすぎにしてしまいました。
でも書いてるときすごく楽しかったです。イキイキしてました。
水崎はのん様、リクエストありがとうございました!これからもよろしくお願いします!