…ったく、なんなんだよ。

赤く腫れた頬をさすりながら、テマリを見た。俺の前方を歩き、絶対にこっちを見ようとはしない彼女。

いつもだったら殴っても看病してくれんのに。今日は冷やしたタオルさえくれなかった。

こうなったのには理由があるんだが…。



「あんた最近食い過ぎじゃねぇか?」

「え。」

甘栗甘で、ふと思った。

俺達は会うと、必ずと言っていい程甘栗甘に寄る。

…まあそれはそれでいい。実際俺は甘いもん食べてるときのテマリを見るのは好きだし。

しかし、だ。最近テマリの食べる量が半端ない。甘栗はもちろん、団子やら大福やらを一人でペろりとたいらげてしまうのだ。

「ブクブク太っても知らねーぞ。この頃あんた大食いだし。」

「な……シカマルお前!」

顔を赤くして、テマリは勢いよく立ち上がった。彼女の力強く拳を握っている姿は、俺の数秒後の運命を物語っている。一瞬たじろいだ。

「お前にはデリカシーってものがないのか!!」



そして殴られた、と。

あーあ、全くどうしたものか。テマリの事を心配して言ったのに。

店を出た時から、テマリの後ろを俺が距離をとって歩くというのが続いている。絶対話しかけてくれないテマリ。ずっとこうだ。

しかし俺はもう限界。テマリと喧嘩したこの状況に耐えられないし、正直不安になってくる。

「……テマリさーん。」

「………。」

思い切って呼び掛けてみたが、テマリはツンとしてこちらをみない。

「…仲直り、したいんスけどー…。」

「……。」

「………俺が気に食わねー事言っちまったんなら謝る。」

「………。」

「なあテマ「うるっさいな!」

半ば叫んでいるような声だがやっと返事をしてくれたテマリは、鬼のような形相で俺を睨んでいた。

「お前が…お前があんな事言うから…!甘いものが目の前にあるのに食べないほうがおかしいだろ!」

テマリは今度はベラベラと一斉攻撃。正直…うるさい。

「だいたいお前にはデリカシーがない!女があんな事言われてどう思うか分からないのか?それにお前がいつも甘栗甘に私を連れてくか………んっ!!」

うるさくてどうしようもないその口を、俺は自分の口で塞いだ。テマリは離せと俺の胸板を叩いてくる。

暫くしてから唇を離した。

「こんな時にお前…。」

まだキッと睨んでくるテマリを、俺は抱きしめた。

「!」

「…すまねぇな、俺が悪かった。」

だんだん俺の腕の中で小さくなっていくテマリ。「お前なんか許してやらない。」と言いながら、内心俺を許してくれているテマリが愛しくて。もっと優しく抱きしめてやった。

「お前がいつも甘栗甘に誘うからいけないんだ…。」

俺のせいで最後まで言えなかった台詞を律儀に言ったテマリに苦笑して、

「だってなんか食ってるときのあんた、すげー可愛いからよ。見てて俺も幸せになる。」

そう言い返せばテマリは顔をほんのり赤く染めた。そしてポツリポツリと呟いた。

「でも実際食い過ぎてた…。少し不安だったときにお前に言われて怒ったのかもしれない。」

「そうか。」

「よし、任務を増やして痩せてやる!」

そう言っているテマリはすごく女だ。俺の前にしかテマリは女を出さないから、そこがまた愛しい。

でも。

「んなことしなくてもあんたは十分綺麗だよ。…それに俺ポッチャリ系が好きだしよ。」

誰にも聞こえないように小さく呟くと、テマリは不思議そうに顔をしかめた。


END




ちび様リクエストでした!
リクエストに応えられているか不安で不安でしょうがないですが…。
タイトルの「甘い誘惑」は甘栗とかのことです。うーん、話とあってないイメージがありますが、テマリさんはその甘い誘惑に負けてスイーツ食べちゃうって意味なんです。

なんだか言い訳みたいになってきましたが(^-^;

シカマルくんはポッチャリ系が好きなんじゃないかと思います。そんな感じの事漫画で言ってますしね!

テマリさんはほっそいほっそい。羨ましい…。



ちび様、リクエストありがとうございました!何かありましたらbbsでお願いします!

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