震える手、と言うのは何度も見てきた。大体それはそいつの悲しみやら怒りからくる。自分が体験した物事を得て脳が弾き出した結果が震える手を作り出しているのだと俺は勝手に認識している。でも、俺が認識しているのはそこまでだ。あくまで、自分が体験した物事が理由。しかし、今俺の目の前にいる女は全然自分には関係の無いことで手を震わせている。

女という生き物は元々涙腺が弱く作られているらしい。でも、こいつは簡単に泣く奴ではない。そんなこいつを泣かしている物事に俺が絡んでいて、遠回しにお前が泣かしたとでも言われている気分だ。若干の罪悪感に苛まれながらそれと共に来る感情に心が押し潰されそうになる。

「テマリ」

出来るだけ優しい声を作る。女の涙を拭うなんてやったことがなかったから涙を掬う親指が自分でも解るほど不器用な動きをする。上目でこっちをみる潤んだその目に一言、言葉が零れた。

「……抱きしめてもいいか?」

俺は、自分が思っている以上にこいつが大切なのかもしれない。



シカマルくんはなんだかんだいってテマリさんにベタボレって話。
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