世間はクリスマスだというのに、俺は任務を与えられた。
里の警備。
こんなのガキな俺なんかより、上忍クラスの大人がやりゃいいのに。
「めんどくせぇ…。」
しかし俺に任されたんだ。しっかり務めなくては。
俺は民家の屋根の上に上った。
周りを見渡せば、カップルがちらほら。クリスマスだからか。
「さみ…。」
0度近い温度の中、吹いてくる風が痛いほど冷たい。寒さで体がぶるりと震えた。
そんな中、テマリの言葉を思い出した。
「すまない、その日は遅くまで任務が入ってて…。」
下を向いて申し訳なさそうにしていたテマリを今でも覚えている。
仕方ないことだと思った。実際俺にも任務が入ったことだし、いいんだ。
でもやっぱり、周りのカップルを見ると我慢している思いが込み上げてくる。
テマリに逢いたい。
柄でもないけど、クリスマスはテマリと一緒に過ごしてぇんだ。
逢いたくても逢えないのが、遠く離れて暮らしている俺達の運命。
俺達は近くて遠い。
長時間外にいるから手がかじかんできた。なんか…鼻水出てねぇか、俺?
「さみぃ…。」
そう呟いた瞬間だった。
ふわりと、首に何かが掛かった。これ…マフラーじゃねーか。
「馬鹿だな、こんな真冬に防寒具一つ着けてないなんて。…メリークリスマス。」
この声は
「…うるせぇ。」
声がしたほうを振り返ると、そこには逢いたくて逢いたくてしょうがなかった愛しの彼女。
よく見るとテマリのほうが寒そうな格好をしていた。人の事言えた立場かよ…と思わず苦笑する。
「あんた、任務じゃなかったっけ?」
「我愛羅が今日はいいから木ノ葉に行けって。」
テマリは「いい弟を持ったろ。」と無邪気に笑った。
「じゃ、私はいつもの宿にいるから…。」
「おぅ。」
「任務頑張れよ!」そう言って宿をとりに行く姿を見ながら、俺はマフラーに手を伸ばした。
少し縺れていて不格好なマフラー。
「手作りじゃねーかよ。」
一生懸命マフラーを編むテマリが脳裏に浮かび、愛しさが込み上げてきた。
任務が終わったら、このマフラーの礼をしてやろう。
耳元で甘い言葉を囁いて、いっぱい愛してやるんだ。
俺のクリスマスはこれからだ。
メリークリスマス。
END
この話のテマリさんの服は五影会談から着てるあの服ですよ。あの露出度が高いね、あの服ね。
寒くないんでしょうか。テマリさんより着込んでるカンクロウのほうが寒がってましたが笑
何はともあれメリークリスマス\(^O^)/