真っ黒な、寧ろ闇色と形容する方がしっくりくるほどに深い深い黒色の目がオレを射抜く。その黒色の目に反射して映るオレは随分と情けない顔をしている。心の動きに体が追い付いていないのだろう。先走る想いばかりが溢れてどうしていいか分からない。考えることは昔から得意であったのにいつもサスケに関してその思考力は発揮されなかった。黒い、目。サスケ本来の目は濁りの一切ない美しいまでの黒色だ。任務の時に見せる写輪眼とは、また違う美しさ。写輪眼の、あの血色の目も、心を奪うには十分な魅力があるとは思う。しかし、オレを惹き付けて止まないのは感情を絶やすことのない黒色の目だ。この闇色の目に囚われて、もはや身動きが取れない。

「何考えてる?」

 サスケの目はほのかに甘さを含み、オレを見つめる。その目に見つめられてしまえば、甘い溜め息をついて抱き締めずにはいられない。その細い腰を抱いて、体を密着させて、その目が見えるように顔を近付ける。サスケの目には喜びが浮かんでいる。その目に映るオレはやはり情けないまでに弛んだ顔をしていた。

「お前のその目が、オレを捕えて離さない」
「…もう逃げられない?」
「ああ、逃げる気持ちすら囚われた」
「可哀想、に」

 優しく細められたサスケの目はオレを真っ直ぐに見つめている。目を開けたまま押し付けられた唇は柔らかく、その目は愛しさに満ちている。離れた唇と繋がったままの視線。脳髄まで溶かされそうな甘い甘いそれは。

「捕まえた」

 笑うサスケの目はオレの最後の自由を奪った。



11:目
(…捕まった)(このまま、溶かされてしまいたい)

 


100804改編


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