夕暮れ、世界は朱色に染まる。
長くなった影すらも僅かに朱色がかったように見えて、サスケは理由もなく笑った。
シカマルは不思議そうにサスケを見て、首を傾げる。
クスクス、笑い続けるサスケはいかにも楽しそうで、理由も分からないままシカマルも笑みをこぼした。
そっと伸ばされた手がシカマルの指に絡み、きゅっと握られる。
その手を握り返しぴったりと体を寄せて歩いた。
周りに人はいない。
いたとしても、気にしない。
大きな影に、足が四本。
変な生き物みたいな二人の影。
また、サスケが笑った。
変なの、と呟いたのかもしれない。
シカマルは絡んだ指に力を込めて返事をする。
夕暮れ、世界は朱色に染まる。
朱色に染まった影はぴったりと寄り添っている。
四本足で、バラバラと歩いて、時々片方だけが止まって、手を繋いだ恋人の影になる。
そっと影の二人はキスをして、きゅうと抱き合った。
はにかんで家路につくサスケとシカマル、手を繋いだ恋人の影と一緒に。
09:影
(影の方がらぶらぶしてる)(らぶらぶって……)
end
***
ちょっといつもと違う感じにしたくて。
らぶらぶなのは寧ろ本体なのに、影にまで対抗心燃やすサスケでした。