今日一日の任務を終え、報告書の提出を済ませたサスケは家路を急いでいた。特に用があったわけでもないが、早く家に帰りたい。早足でサスケは火影邸を抜けていく。

「よお」

 声を掛けられそちらに目を向けるとそこには気怠そうに右手を上げシカマルが立っていた。そのシカマルの顔には、普段見慣れないメガネが掛けられていた。

「…誰?」
「いやいやいや、分かんだろ」
「メガネ掛けてたのかよ。聞いてねえぞ」
「報告いるのか…?」

 数回会話を交してシカマルはサスケと連れだって歩きはじめた。秋風が涼しく髪を揺らす。サスケは物珍しそうにメガネを掛けたシカマルを眺めた。

「そんなに見るなよ」
「いいだろ減るもんじゃねえし」
「まあそうだけどよ。あ、今日お前んち行くからな」
「オレもそのつもりだよ」

 会話を交すうち、サスケの家に着き中へと入る。シカマルも慣れたようにサスケの後を歩き、ソファーに座り込んだ。丁度いい具合に沈み込むソファーにシカマルはため息をもらす。

「親父くせえな」
「ほっとけ」

 その隣にサスケも座り、シカマルの顔を両手で包んだ。メガネが少しずれて、シカマルが目を細める。

「何でメガネ掛けたんだ?」
「そりゃ視力が落ちたからだよ」
「へーえ?」
「不満か?」
「とっても。オレは今初めて見たからな。他の奴がオレより先にメガネなシカマルを見たとなったら不満に決まってるだろ」
「…そりゃあ、考えが足りなくて悪かった」
「全くだ」

 少し唇を尖らせたサスケを撫で、シカマルはメガネを外した。あ!とサスケが叫んだのにシカマルは驚いて目を見開く。

「何だよ」
「メガネ掛けてるのまだ見てたかったのに」
「いつでも見せてやるって」
「今見せろ!」
「なんかそんなに言われると…嫌だ」
「何でだよ…男前度5割増しなのに」
「そんなにか?惚れた?」
「や、もう惚れてますし。ベタ惚れです」
「おお、直球」

 シカマルは笑ってサスケを抱き締めた。苦しい、ともらすサスケもくすくすと笑っている。抱き締められたままサスケはシカマルの外したメガネに手を伸ばした。それに気付いたシカマルはサスケを離すと、サスケはそのメガネを自分に掛けた。まるで元々サスケのものだったように馴染むメガネを見てシカマルは感嘆した。サスケはメガネを掛けたシカマルを男前度5割増しと言ったが、サスケは色気5割増しというところだ。メガネのおかげか、より涼しく美しくなった目元にシカマルは見蕩れてしまう。

「似合うだろ?」
「……おう」
「それだけか」
「……だってお前何かえろい」
「何だそれ」

 呆れ顔のサスケにシカマルは噛みつくようにキスをした。メガネがかつん、と顔に当たりシカマルは眉をひそめる。それでもサスケの頭を掻き抱いて舌を甘噛みする。鼻から抜ける声がシカマルの耳を擽り、キスに夢中になってしまいそうになる。しかし間を阻むメガネが気になって仕方ない。

「…っ、邪魔くさいな、これ」
「…色気5割減、だぜ?」
「そのままで十分、えろいから」
「…は、当たり前だっつの」

 シカマルは不敵に笑ったサスケの唇を再び奪い、ソファーに倒れ込んだ体にのしかかった。




06:めがね
(メガネなんて必要ないくらいに近付いてしまえばいいだけのこと)



100804改編

 
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