穏やかにすやすやと寝息を立ててるサスケを横目にゆっくりと上半身を起こした。寒いと思えば掛け布団はことごとくサスケに奪われてしまっている。じとりと恨めしくサスケに視線を落とすが当然気付く様子もなくぐっすりと眠っている。手持ち無沙汰なので視界を覆う前髪を掻き上げる。開けた視界に暗い部屋の中でもなお白く浮き上がるサスケの肌が映る。惜し気もなく晒された首筋は男にしてはやけに細い。顎のラインやら顔のサイズを舐め回すように見て今更ながらに整った顔に感嘆した。


 そしてオレは何も考えず本能の赴くままにサスケの首に右手を伸ばした。力を込めることなく掴んだ首はやはり細く、力を込めてしまえば簡単に折れてしまいそうだ。脈拍がダイレクトに伝わり思わず笑みが洩れる。規則的にとくとくと脈を打つのを感じると生を実感し愛しさが溢れる。



 だから、オレは、
 サスケの首を掴む右手に、
 有らん限りの力を込めた。



 動脈を圧迫しないように、と頭の隅で考えつつ気管を絞める。首だけに集中させていた視線をゆっくりと顔の方へ移動させると、黒い瞳と視線が交差する。その瞳に苦しげな様子はない。サスケの右腕がオレの左手を取って自分の首へ導く。導かれるままサスケの首を両手で絞めていく。サスケはオレを止めることなくオレの腕に自身の腕を絡ませ目を細める。しばらくその状態が続いたが、さすがにサスケも酸素が足りないのかぼんやりと瞳を霞ませ、少しだけ眉を寄せる。ぐ、と更に力を込めて絞め上げると絡む腕が徐々に重さを増していく。生理的に滲んだ涙が零れ落ちる瞬間、オレはサスケを解放した。


 派手に咳込むサスケを見下ろし、その首にくっきりと手形がついているのを発見した。白い首筋に赤紫の手形。倒錯的な気分になるのも仕方ない。荒い息を上げるサスケを抱き寄せて柔らかい髪を撫でた。サスケの意志に関わらず、身体は強く生を望んでいる。少し呼吸の落ち着いたサスケの唇に自分のそれを押し付け、薄く開いた唇に舌を捩込む。熱い口内を犯し、唇を離して朱くなった目元に滑らせる。背中を撫でてこちらに体重をかけるサスケを受け止めた。

「なんで止めた?」
「死んだら困るだろ」
「誰がだよ」
「オレが、サスケが死んだら、困る」
「なんで?」
「生きていけねーからな」

 サスケがくすりと笑ったと思うと首筋に鋭い痛みが走る。噛み付かれたと理解するまでしばらくの時間を要した。この痛みから考えて、派手に痕が残っているだろう。別に構わない。サスケにだって俺の手形がくっきりと残っているからおあいこだ。顎を掬い上げて唇を合わせ、抱き込んだサスケを巻き込み横になる。奪われた掛け布団を忘れずに掛けて、潜り込む。

「仕方ねえから一緒に死んでやるよ」
「そうだな、死ぬ時はそうするか」
「でもしばらくはこうやって寝とこうぜ。死んでからじゃこんなこと出来ねえだろ」
「じゃあ死ぬのはまた今度だな」

 吐息を感じられる距離で美しい寝顔を眺めつつ、ぴりぴりと痛む首筋を撫でる。もう寝入ってしまったのかサスケは身動きひとつしない。一緒に死ぬのも悪くないが少しだけサスケを殺してみたいと思った。サスケが最期に見る光景がオレだけだと考えるだけで狂喜に打ち震えそうな自分がいることが分かる。それと同時にサスケに殺されてみたいとも思う。最期までサスケを見ながら、なんて幸せすぎると思うのだ。しかしまあ、一番はサスケと共に長く長く生きることだ。死ぬのも殺すのも殺されるのもいつでも出来る。取り敢えずは生きてでしか出来ないことを満喫してみよう。それに飽きてしまってから、死に方を考えるのも悪くない。


 そんな下らないことを考えながら眠るサスケの頬に口づけて目を閉じる。心地よい睡魔がオレを襲う。ぼんやりとやっぱりこのまま、サスケを腕に抱きながら死ぬのもいいよなあ、と結論の出ない考えと共に眠りに落ちた。



生きながらに死を想う、まさにそれはヒトの業で



*****
うっかりサスケを殺したくなるシカマルとシカマルに殺されたいサスケの話
シカマルもサスケも眠いので意識混濁中です←
私も意識混濁中にて中々に意味がわからない
 


100804改編



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