※性描写注意








 一糸纏わぬ姿になって押し倒され、まだ濡れたままの髪が頬に張り付いた。それが気になり伸ばした手も絡め取られ、シーツに縫い付けられる。抗議のために開いた唇はそのまま口付けられて呼吸すら奪われてしまった。上から覆いかぶさってくるシカマルに腕を伸ばして背中に指を滑らせる。ぐいと引き寄せてシカマルの唇に噛みつくと、咎めるような視線をもらってしまうが、それも直ぐに閉じられる。柔らかく舌を食まれ首の裏にぞわりと痺れが走って鼻から抜けるような声が小さく洩れていった。
 シカマルの指が脇腹に触れていったときにあるものを思い出してシカマルをつついた。

「ん……なんだよ?」
「ちょっと待て」

 不満気に手を止めて首を傾げたシカマルにちゅっとキスをしてシカマルの下から抜け出す。ベッドの上を膝で進んでベッドサイドへ手を伸ばす。二番目の引き出しを開けて小さなボトルを取り出していそいそとシカマルの元へ戻った。

「いつものと違うな」
「今日はまあ……これで」

 そう言ってシカマルに手渡す前にローションの封を切る。むわ、と甘い香りが鼻について目を細めた。匂いはシカマルにも届いたようでオレの手からボトルを取り興味深げにそれを観察している。すんすんと鼻を鳴らして匂ったシカマルは中身をそっと手に垂らしていった。手のひらで十分に温められたそれを指に纏わせたシカマルが顔を上げるのに合わせてシカマルに背を向ける。手と膝をついて四つん這いになると後ろでふっとシカマルが笑うのが分かる。振り向こうとしたときに背中にちゅっとキスをされて動くのを止めると、その間にぬるりとした感触を後ろに感じた。

「すげー匂いだな。あと色が……あざとい……ピンクってよ」
「アダルトグッズだからな」
「へ?」
「……アダルトグッズ」

 シカマルの指が出入りするのを止めてしまい、顔だけを振り向かせて同じ単語を呟いた。指を抜いたシカマルはその手に再びローションを垂らしてそれをまじまじと見つめている。じわじわと熱を帯び始めた後ろに緊張とわずかな不安からごくりと生唾を飲み込んだ。

「色がピンクだからか?」
「何が?」
「アダルトグッズって」
「や……」
「何だよ」
「……媚薬成分配合……みたいな……」

 自分で言いながら気恥ずかしくなり視線を反らす。枕に手を伸ばして顔を押し付けた。しばらくシカマルに動きがないのが気になり仕方なく手をついて後ろを振り向くと顔を赤くしたシカマルが腕で顔を覆っていた。

「お前自分で使おうって……お前……」
「う、るせえなっ! せっかくあるんだからいいだろ!」
「つかなんでこんなの持ってんだよ」
「お裾分け……」
「誰の」
「カカシ」

 ふーん、と心なしかつまらなさそうに唇を尖らせたシカマルは再び指をこちらに伸ばしてきた。人差し指が周りを一回なぞり、ぬる、と侵入してくる。たっぷりと塗り込まれていく感覚に腰が震える。くい、と指を曲げられると触れるそこは何度も何度も快感を教え込まれた場所で、掠めるように触れただけでも声が洩れそうになる。噛みしめた唇からかすかに洩れ出た空気はすでに熱と湿度を持っていた。

「つってもよ、別にそこまで効かねーだろ……配合、って多少含んでるってくらいの意味でよ」
「そうだと思ってるけどな」

 軽口を叩きながらも二本に増えた指がナカを掻き回す。いつもより多めにローションを使っているのか、粘着質な水音がやけに耳につく。先ほどからイイところをあえて外すように動くシカマルがもどかしい。三本目が入ってきたときに普段にはない感覚に目を見開いた。
 触れられた部分が激しく熱を持ったような心地がする。身体全体が心臓になった気分になる。シカマルが時折触れる腰ですらその刺激に耐えきれず声が出そうになる。腰で、そうなるわけだ。ナカで直接触れられている部分なんてその比ではない。手をついていられなくなりがくん、と肘をついた。空いた手で口を押さえて額をシーツに押し付ける。
 まさかここまで馬鹿みたいに効くとは思っていなかった。少し感度が上がる程度だろうとタカをくくっていたのだが、少しどころではない。普通にナカを探られるだけでこれだ、今はシカマルがわざと外しているからいいものの、触れられてしまったらどうなってしまうのだろうか。

「こっちは随分と物足りねーって感じだな?」
「ひぁッ! や、やぁ……!」

 不意に前を握られて押さえていた口からあられもない声が出て行った。一度も触れられていないはずのそこはすでにしとどに濡れていてシカマルが手を動かすたびにいやらしい音が耳に響く。びりびりと全身を駆け巡る痺れに思わずシカマルの手を掴んで動きを止める。けれどそれを意に介しないシカマルは親指で先をぐり、と押しつぶしてきた。

「あッや、だ、……あ……ッ!」

 ものの数秒触れられただけで達してしまい、シーツに顔を押し付けて乱れた呼吸を隠そうと試みる。自分の身体が自分のものではなくなったような感覚に不安を覚えてかぶりを振った。しかも一度達したにも関わらず熱を持ったままのそこに嘘だ、という思いが頭を占める。

「もしかしてサスケ、すっげー効いてんのか……?」

 ゆるりと先端を撫でられびくりと身体が揺れる。頭では不安を感じているのに身体はまた快感を追おうと腰が勝手に動く。どうするか、と考えるためか手を離してしまったシカマルをたまらず追いかけて、勢いのまま押し倒してしまった。シカマルの膝を跨いで昂った熱をシカマルに押し付ける。ゆら、と揺れる腰から駆け昇ってくる痺れに自分の髪をくしゃ、と掴んだ。

「はっ……、も、……おかしく、なりそ……」

 自分の膝に昂りを押し付けて腰を揺らすオレを見てゴクリと喉を鳴らしたシカマルは半ば乱暴にオレの肩を突き飛ばした。ベッドに倒れ込むと、シカマルが覆いかぶさり、強引に唇を奪われた。舌が触れ合うだけで感じたことのない快感が全身に走る。夢中になってキスを続けているうちに、それだけでは足りなくなってシカマルの頬を両手のひらで包みこんだ。

「足んね……も、欲しいッ……早く、シカぁ……!」
「馬鹿ッ……煽んじゃねーよッ!」

 舌を打ったシカマルは身体を起こしてオレの膝裏に手をかけた。ぐい、と足を上げられて情けない姿になるけれど、それすら快感を呼んでしまう。すぐに熱が押しあてられるのを感じて、そのまま貫かれた。

「アッ、ああッ!」
「……ッ、あつ……」

 奥深くまで繋がって、シカマルが耳元に唇を寄せた。はあ、と直接耳に吹き込まれた吐息に身体がびくびくと揺れる。シカマルの熱が押し入ってきただけなのにまた熱を吐き出してしまった身体には吐息でさえも十分すぎる刺激だった。
 シカマルが動き始めるのを待てずに腰を揺らすと、シカマルが耳に歯を立てた。それに思わず声が洩れる。いつにも増して身体が熱い。始めこそ不安が頭にあったにもかかわらず、すでにその不安も頭の隅に追いやられ、快感を追うことに思考を奪われてしまった。



 部屋には荒い呼吸音と、あられもない声と、肌と肌がぶつかる音と、それから粘着質な水音が響いていた。もう何度達したか分からない。それでも身体中をめぐる甘い痺れは弱まる様子もなく、思考は完全に蕩けてしまっていた。動けば身体がびくびくと震える。もはや自分から動けないほどに弛緩した身体をひたすらに揺さぶられて、口からは勝手に甘く掠れた声が漏れ出て行った。

「はっ、ぁ……やァっん、あ、あっ……」
「……ッん、ヤじゃねー、だろ……? もっと欲しいクセに、っ」
「ひァッ、あ! あっ……ン、もっ、とぉ……」

 その言葉にくいと唇を引き上げたシカマルがイイところばかりを狙ってくる。それがたまらず背が反り返ってしまい、突き出してしまった胸をいたずらに触れるシカマルの指によってまた快楽に引きずり込まれる。結合部から聞こえる音にさえ煽られた。意識が危うくなるほどに突き上げられて、溢れる涙で視界が霞む。もはや我慢しようという意識も働かずに声を上げてしまい、それが自分の耳を犯していった。

「しか、ま……もっ、んあぁっ! も、むりっ……ひあッ」
「は、……ッ、待て、って……」
「アぁっあ、あっ、も……ッ、ぁあああッ!」
「……ッぅ」

 ずんとイイところを突かれて目の前がチカチカとする。爪先までぴんと伸びた足ががくがくと震える。一瞬で全身を駆け抜けて行くいつもの痺れと違い、これは後を引くものだった。シカマルのわずかな動きでさえも悲鳴を上げてしまいそうなくらいに感じてしまう。見開いた目からは涙が溢れていった。ナカでシカマルが脈打つのにすら首を振ってどうにか快感を逃そうとしてしまう。結局逃がすこともできず、身体を震わせることしかできない。

「ッ、サスケ、……」
「……は、あぁ……し、か……」

 名前を呼ばれてそれに応えようと喉を震わせたけれど、最後まで言葉を紡ぐことができないまま、ふっと意識が途切れてしまった。




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