※性描写注意









 ベッドにオレが押し倒されることは、何もそんなに珍しいことではない。別にサスケがオレのバックヴァージンを狙っているとかいう話ではなく、単純に積極性の問題だった。突っ込むのはオレだし、最終的にはサスケが女役に回って喘ぐのだ。しかし、まだサスケが完全に衣服をまとった状態で、オレのみが衣服を乱れさせたあげく前を寛げられて股間をまさぐられているというのはなんだかおかしな状況であるようにも思えた。
とは言え、好きな相手がぎらりと瞳を光らせて楽しげに唇を舐める様子を見て、そして下着越しに触れられてしまえば兆しを見せ始めても致し方ない。あり得ない仮定ではあるけれど、もし仮にこの状況を第三者が目撃したのなら間違いなくオレの方がサスケに食われるように見えることだろう。まあある意味食われていると言えないこともない、とくだらないことを考えながらサスケの行動を追っていると、下着越しにやんわりと食まれてじわりと下腹部が熱を持っていくのが分かった。
 上体を起こしてサスケを見下ろすようにすると、こちらを見上げるサスケと目が合う。意味有り気に笑ったサスケは意図してそこに歯を立てた。布越しのもどかしさに名前を呼ぶとわざとらしく首を傾げるサスケが小憎たらしい。

「…脱がせたいか脱いで欲しいか」
「このままでいい」
「どっちか」
「じゃあ脱いで」

 どうやら直接どうこうしてくれる気はあるらしい。しかし自分で言っておいてなんだがサスケの視線を受けながら下着を脱ぐというのは少し気恥ずかしいものがあった。物凄く、今更だ。ふう、と意を決して下着に指をかけ、腰を浮かせて太腿まで下ろすとすでに上向き始めているそこに白い指が伸びてつつ、と触れていく。

「元気そうで何よりだ」

 じとりと責めるような視線を投げかけるとサスケは肩を竦めた。そのわりにはオレに触れる手の動きが止まっていない。下着を片足から引き抜いたところでサスケはオレの両足の間を陣取った。このあとどうしたいのかなんていうのはこの付き合いの中で十分に分かる。サスケが動き出す前にぐっと腹へ力を込めると間もなくサスケの頭が下がっていき、下腹部にねっとりとした感触があった。くらりと眩暈に似た感覚を覚える。案の定口の奥まで招かれているようで、毎度思うことではあったけれどよくえずかないなと感心した。
 長くいたずらな舌が色々なところを這って回り、あえて先端には触れないように動く。たしなめるようにサスケの後頭部に触れ少し自分の方へ引き寄せる。オレを見上げる挑戦的な瞳が目蓋に覆い隠されたかと思うと、一瞬昂りが解放され再び先端のみが口に含まれた。びりびりとした感覚がそこから伝わり息が乱れる。視界の真ん中でサスケの唇が弧を描いたのが見えて舌打ちをしてしまいそうになった。


 飽きもせず昂ったそこへの刺激を続けるサスケにそろそろオレは限界を迎えそうだった。サスケの舌使いに翻弄されるまま、下腹部へ力を入れて快感を受け流そうとするけれどこれもそう長くは持たない。口に含まれていない部分も手で刺激されて、たまに思い切り吸い上げるものだから僅かに声を漏らしてしまうのが悔しい。悔しいとは言うものの本当に巧いのだからしょうがない。同じ男だから大体どうすればイイのかは分かるのだろうけれど、何より器用な舌が問題だった。
 ぐちゅぐちゅと卑猥な音がするそこを見つめていると視覚的にもいやらしくて目を閉じる。そうすると感覚が鋭敏になって我慢が出来そうにない。八方塞がりな状況に薄目でサスケの姿を捉えると、不意に下腹部への刺激が消えた。

「ちょっと休憩」

 そう言ってサスケはオレの太腿に頭を乗せた。寸止めされた気持ちになって悶々とした思いが募る。先走りと唾液で濡れそぼったそこを眺めながら唇を舐めるサスケは実に絶景だった。ふとサスケの下腹部に目をやると十分にそこは主張をしていて、手を伸ばそうとするとサスケの手に捕まってしまった。しかしその制止も微かなもので、そのまま控えめに触れると見た目以上に昂っていたようでサスケが声を上げた。

「ッあ、ん…も、バカ触んなって…」

 熱っぽい視線でねっとりと言われるとぞくりと背中を痺れが走る。衝動的に触れようと動いたけれど、それよりも早くサスケがオレの身体を押さえて放置されていた熱に唇を寄せた。息を詰めて耐えていると先を咥えられて、軽く吸い上げられる。サスケの髪を掴んで背中を丸める。オレにとっても少しの休憩ではあったが、それもあまり意味はなくすぐに先ほどの昂りを取り戻してしまったそこは今にも解放を求めていた。
 短く息を吐いて、やり過ごそうにも体内をめぐる快感に抗う術はない。そろそろこのいやらしい動きをする舌から解放されたいものだ。何も言わずに口の中へ出してやろうかと思うけれど、それはサスケがひどく喜びそうなことだった。意趣返しに敢えてサスケの技巧によってではなく達してしまおうとサスケの頭を掴む。そのときに尖らせた舌が先端にねじ込まれてぶわ、と快感が走る。もう持たないと頭を押すと、サスケの歯が先に絶妙な加減で掠めていき、目が眩んだ。

 サスケの口から解放はされたけれど、最後の不意打ちに耐えきれなかった。反射的に目を閉じたサスケの顔にオレの熱がかかって、思わぬところで顔射をしてしまって気まずさに目を反らす。もちろん目を反らしたのはあのサスケの綺麗な顔にオレの精液というエロすぎる光景はあまりにも目に毒だったという理由もある。

「顔射するならするって言えよ」
「…悪ィ」
「別にいいけど」

 頬を伝う熱をべろりと舐めたサスケはにやりと笑ってオレの首に腕を回した。そのまま抱きついてきて、体勢を崩したオレはまた背中をベッドにつける。サスケの顔に残る熱を指で拭うと、その指をサスケが舐め上げた。

「そんなに良かったか?」
「…いつもと変わんねーよ」
「あァ?」
「いつも良過ぎて困ってんだっつの」

 オレの言葉に喜ぶサスケを見る前にその唇を塞いだ。直後にそういえばこいつオレの咥えてたあげくさっき出したやつ舐めてた、と思い出す。もう今更手遅れで、気にすることは止めて、今度はオレがサスケを押し倒した。




天国まで


110506



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