11.




[丸井視点]







遡る事二時間前。


仁王が去った後純粋に桃子と
二人でバイキングを楽しんでいた










桃子「やっぱりショートケーキが一番ね」



丸井「桃子はそれが一番好きなのかよぃ?」



桃子「そうね、二番はチョコレート」








ケーキの食べ方もやはり想像通り、
綺麗に平らげなんとも桃子らしいと思った






俺は甘いもの好きを公言してる癖に
ミルフィーユとか未だに綺麗に食べられない。









ボロボロに崩れた手元のケーキを
ボーっとしながら見つめ
少しだけ昔の事を思い出していた。




















ーーーーーーー










俺が桃子の存在を
知ったのはまだ中学生の時





氷帝との練習試合中、
相手コートにいる女の子に目がついた。








丸井「(うわ、めっちゃ美人…!)」








跡部や榊監督の傍で
大人びた容姿からは想像できない程
大きな声を出して応援していたから。













試合は俺達立海の勝利。

帰り支度を終えジャッカルや仁王と
今日は何処に寄り道するか?
なんて呑気な話をしていたら
氷帝の奴らと鉢合わせた。




無意識に女の子を探したけれど
今度は跡部の横にも、
監督の近くにも居なかった。








丸井「(あれ、何処にいんだ?)」




立ち止まり辺りを見渡す。

しばらくしてジャッカルに呼ばれ
まぁまた会えるだろう、と
足を動かした時










芥川「大丈夫だよ桃子、また勝てるから」


「でも…悔しい、!」














その時は、練習試合でも
泣くマネージャーなんているんだなー
としか思ってなかったんだけども、

時間が経ち、思い出すにつれ
その光景はどんどん色濃くなっていった。








きっと今思えば、一目惚れに
近い感覚だったのかもしれないけれど、


容姿が完全にタイプだし
純粋にテニスが大好きで
いつでも全力な女の子なんだろう、と
瞬時に思った気持ちも強かった。











そしてびっくり、高校に上がったら
彼女が同じ学校にいるじゃねぇか。











しかし、以前とは何かが違う、
雰囲気が冷たくなったというか



幸村君もやはり
彼女の存在を知っていて話しかけたが
"もうテニス部とは関わりたくない"
って言われたとかなんとか。



目立つ容姿をした桃子は
同級生や上級生から
スグに目をつけられてたし、
中には入学式後すぐに
告白している奴とかも居たらしいけど



結果は知るまでもなく。


















何故桃子は数年で
あんなに変わってしまったのか。

テニスを嫌ってしまったのか。

誰とも会話せず、一人でいるのか。



本当にただの好奇心で
気になってしまった馬鹿な俺は
声をかけちまったんだ。











軽い口調でいつもの様に。

勿論彼女は俺を睨みつけ
口を開く事無くそのまま去って行く。







今でも思い出すと自分に嫌気がしてくる。





何があったのかも知らないで、
気になるからと自分の気持ちしか考えず
声をかけた事をとても後悔した。



そして、俺が踏み込んでいい
人物ではないと瞬時に悟った。










それから桃子の事を
考えない様にする為
今までの部活一色とは一転、
遊びに遊んでチャラい丸井ブン太の完成だ。















そんな中たまたま参加したこの合宿







縁で臨時マネをしてくれた桃子





そして、海で急接近できたし
今も二人きりで話をしている。






更には以前の様なトゲが
少し無くなっている事にも気付いた。











だから俺は、









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桃子「…丸井?」











丸井「…桃子はさ、どういう男が好き?」













少しずつ攻めるんだ。














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