30.




[緒橙視点]







その日が近付くにつれ、
校内は少しずつ賑わいが増していった。



当日になるといつもより念入りに
化粧や髪の毛に気合いを入れ
黄色い声が廊下を交差する。






理由は一つ、今日は女子の決戦日。














緒橙「ねぇねぇ、やっぱ赤也に渡すの?」








お昼休みになりあたしはいつも通り
水希のクラスに来ていた。


バレンタインデーって言うのもあるけど
やっぱり水希のクラスも殆ど女子は
教室に姿はない。










水希「まあね」



緒橙「うへぇーやっぱ手作り?」









問いかけに水希は小さく頷く

水希のバックから取り出された物は
水希らしからぬ可愛らしい
ラッピングを施されている、チョコ。



あぁ、青春だなぁ












水希「初めて作ったんだよ、笑うなっての」



緒橙「いいですなぁ!幸せですなぁ!」



水希「お前はなんも作ってないの?」



緒橙「えへへー、実はね!じゃーん!」








あたしがそれを取り出すと水希は
おぉ、と声を上げる。


実は言うと、日頃の感謝を込め
昨日から徹夜で友チョコならぬ
別名!お世話になりましたチョコを
こっそりと作ったのである。










水希「サンキュー!あ、でもあたしは…」



緒橙「いいのいいの!水希は赤也に
ずっきゅんばっきゅんで
夢中なのは分かってるから!」



水希「はぁあ!?」





緒橙「ついでにブンちゃんとにおーにも
渡そうと思ったんだけどそういえば居ないね」




水希「アイツらにも作ったのかよ!
本当いちいち凄いな、緒橙」






いちいち、は余計だ!
なんてぷんすかと怒ったふりをする。

それに対し水希は手に握られた
あたしのチョコをまじまじと見た後、
アイツらの適当に机の中に入れとけば?
って言うんだけどやっぱり
直接渡したいからと、断った。









水希「そういや、桃子がこの時間に
来てないってのも珍しいな」



緒橙「確かに!」










いつもこの時間に来ている桃子の姿が無い。




水希「もしかして、チョコ渡しに行ってたり…?」



緒橙「いやいや!だってまず
作ったかも微妙だよ!
料理壊滅的に出来ないんだよ?」



水希「買ったとかあるじゃん!
桃子ならいちいち渡しに行くのにも
あたし等に言わなそうだし」











それは大いに有り……!


でも景ちゃんとの件から
桃子の好きな人の話も無ければ
そんな素振りすら思い浮かばない。













緒橙「うーん、ちょっとクラス見てくる!」







ブンちゃんとにおーに作ったチョコを
再び紙袋に戻し賑わう廊下を
少し駆け足にA組へと足を進めた。










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