「……何してるんだぜ?」

いつものように、暇潰しに立ち寄った博麗神社。しかしそこにお馴染みの彼女の姿は無く、神社は静けさに包まれていた。
巫女である霊夢は異変でも起こらない限りはここにいるし、現在はこれといった異変も起きていない。だから珍しいこともあるものだと、そう思って帰ろうとしたその時に、子どもの笑い声がしたのだ。神社の裏手から、しかも誰かと話している様子で。
だから人里の子どもでも遊びに来ているのかと、見にいくことにした。

確かに子どもはいた。スキマ妖怪の膝の上で笑う、この神社の巫女によく似た顔をした少女が。

「何って…見てわかるでしょう、遊んでるのよ」
そんなことを言いながら、スキマ妖怪−八雲紫−は少女を抱きかかえた。少女はどこかくすぐったそうにしながら、突然現れた相手を興味深そうに見つめている。
「じゃなくて!…そいつ、霊夢、なんだよな?」
「そう、博麗霊夢。五歳くらいの、ね」
「はぁ!?ご、五歳?」
目を白黒させる魔理沙をおもしろそうに眺めつつ、紫は言う。
「暇だったから、ちょーっとだけこの子の年齢の境界をいじってみたの。そしたらやり過ぎたのかしらね、可愛くなったでしょう?」
あぁ、こんなのでもボスだったかと魔理沙が現実逃避をしかけた時、今まで黙っていた少女が口を開いた。
「おねーちゃん、だれー?」
「お、おねーちゃ…、…あたしは魔理沙、霧雨魔理沙だぜ、お嬢ちゃん」
「わたし、はくれーれーむだよ!」
「あぁ、うん、知ってるんだぜ…。おい、スキマ妖怪、これっていつ戻るん…」
だ、と聞こうとした魔理沙が紫の方を向く。しかしそこにはもう誰も居らず。
ただ閉じていくスキマがポツンと、空中に浮かんでいた。

「あ、いつっ……逃げやがったーーー!?」
ハァ、とため息をついて座る。ふと隣を見れば、小さな霊夢はお手玉片手にこちらをじっと見ていた。
「あー、なんだ、その、さ」
「……………」
「……暇だし、遊ぶか?」
「……うん!」

そしてその日、魔理沙は幼い霊夢と共に、一日中遊んだのだった。

後日、元の姿に戻った霊夢と某スキマ妖怪とによる弾幕勝負が繰り広げられたことは言うまでもない。


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