折原くんと図書委員さん



女に逢うのは週に2回だと決まっている。



部活はやってないから、時間をゆっくり使える放課後に主に通う。

本当は前は放課後は興味を持った人間と、シズちゃんの情報収集にあてられていたんだけど最近はほとんどやってない。


元々読書が嫌いではない性質だったし、知識はいくらあっても無駄にはならないから家にある本は大概に読みつくした。

わざわざ図書館におもむくほど読書好きというわけでもないため、ふらりと学校の図書室へ訪れる。存外にいろんな種類の本があって、暇つぶしや知識を得るにはちょうどいい。だから毎日通う理由になった。


通うだけで借りるわけではないんだけど。



借りるのは週に2回だけ。彼女が当番をしている日、だけ。

その理由なんてとうの昔に気付いているけれど誰一人として言う気はない。それどころか悟られる気すらない。当然だ。
シズちゃんにでも気取られた日には……!!……ひたすらに隠す日々が続く。

正直に恥ずかしいって言葉が使える相手ならラクなんだけどねえ、なんて言おうにもそもそもそんなこと言う方が恥ずかしいだなんて気持ちは見ないフリ。

全くもって柄じゃないとか、自分が踊らされる側だなんてありえないとか色々思うところはあれど結局は惚れてしまった方の負けで。


以前は彼女がいる日だけ通っていたのだけれど、一度だけ当番の日に居なくて別の日にいたことがあってからはとりあえず毎日通うようになった。毎日通って物色して、いいと思ったものを彼女が当番の日に借りる。
その方が自分の気持ちがばれにくいだろうって計算もある。

急なシフト変更にはさすがの俺でも対応できない。
……いや、そうじゃないね。今回の俺は調べようとすらしていないんだから。




情報通を名乗るクセして、"週に2回図書室のカウンターに座って静かに本を読みながら当番をしている少女"としかわからない名前すら知らない彼女に逢う。

そのためだけに今日も図書室へと通う俺はもうずいぶん毒されてると思う。




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