確かめる術なんて私は知らない。
この感情が確かなものだったのかすら分からない。


私は本当に愛されてる?
私は本当に愛してる?
私は本当に愛されてた?
私は本当に愛してた?


愛なんて不確かなものに溺れて、溺死する。

そんな最後は嫌だったけど、どうしようも無いほど溺れていたから。
貴方に溺れていたから。



だから、












心臓の音と共に手首から流れていく私の血が浴槽の水を濁していく。
血が無くなりすぎて、思考さえままならなくなってきた。

けど、眠るにはまだ早い。
最後に貴方を見なきゃこんなことをした意味が無い。



私はこんな手段でしか確かめることが出来ないから。

貴方が私を愛していてくれている、それは分かっていたはずなのに。私が信じられなかった。



シズちゃん、という人を除いて誰に対しても同じように扱う貴方が、私を他の人たちと違った扱いにする理由なんて分かりきっていたの。

たとえその扱いが「避ける」という普通では愛しているといえない行動でも。


貴方はそういう人。自分の異質さを理解して尚そのままで居続ける。

だから、分からない。異質な貴方は普通に「愛する」という行動が。
だから、避ける。自分で傷つけてしまうことを恐れて。






そんなこと分かっていた。分かっていた、はずなのに。

信じられなくって。


言葉が無くては伝わらないの。言ってくれなきゃ分からないの。行動してくれなければ信じられない。

そんなことを思い始めてしまって。
そして、自分の気持ちさえ不確かになっていって。




命を懸けて、確かめようとしたの。









回想に耽っても現実は変わらない。

このまま貴方に……臨也に会えないまま死ぬなんて無意味すぎる。
貴方の反応を確かめる為にこんなことをしたっていうのにね。

ああ、でも。無意味のまま終わりそう。



虚しさに少し苦笑い。
そしてもう臨也に会うことは諦めて、ゆっくりと浴槽に沈んでいく。






(愛してるの一言が欲しいだけだったのに)



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