「うあー…きつ……」



ベットに伏して動けない状態でいる私。
参ったなぁ…と呻きながらぼんやりと天井を眺めてる。


私、現在風邪引き。

朝から調子が悪いとは思っていたが、まさかこんなにも酷くなるとは思わなかった……。


ぼーっとしているとだんだん身体が把握できてきて、頭痛と喉の渇きが酷いことに気づいた。



「水……」



頭が痛む状態で体が思うように動かなかったが、水を求め1階のキッチンへ。

フラフラしながらもなんとか冷蔵庫前にたどり着いたのだが、



「あー…らー、ら?」



急に視界が縦から横へと変更される。
どん、と鈍い音。

あ、れ……体…動かな……。

そのまま私の意識は無くなった。








「なまえ、まだ生きとるー?」



病気と打ったという2つの理由での頭痛が混じる中で知ってる人物の声が聞こえる。
視界は靄がかかったような感じで全然分からない。

誰だっけ……。
考えようとするが頭痛がするので止める。
とりあえず質問されたので答える。



「とりあえずは……」

「今にも死にそうやね」



声に返事をしながら回復に努めているとだんだん視界も晴れてきて、頭痛も少しだけ治まった。



「あぁ……ギンだったんだ」



そう言うと、呆れた目でこちらを見る。

はぁ、とか額に手をあててため息つかないで欲しい。



「こんなところで寝て何がしたかったん?」

「水飲みに来て倒れた」

「さすがはなまえやね。そないなことできるなんて」

「…うるさい」



唐突に現れるギンに驚きはしない。いつものことだ。

病気なのにまわる舌は多分普段からこんな会話をしているからだろう。
それ以外は全く動かないが。

しばらく放って置かれながら会話を続けてしまっていたが、ふと我に返り私の中での一番の疑問を問う。



「……何しに来たの」

「暇つぶしに」

「帰れ」



何なんだコイツは。

心ではそう思いながらも、口に出してもグダグダ会話が続くだけなので目で訴えてみるが軽くスルーされる。



「それにしても、馬鹿は風邪引かないって言うんやけどね」



そう言うとギンは私を横抱き(俗に言うお姫様抱っこ)にされる。



「…何してるの」

「せやから、暇つぶし」



…ギンの行動は理解できないものが多い。
もしかしたらあまり考えずに行動しているだけなのかもしれない。

どうせ、何を言っても降ろしてはくれないので無言で連れて行かれると私の部屋のベットで下ろされた。



「病人は寝てなあかんよ」

「その病人を放っといて会話してたのは誰だと思ってるの」

「僕やね」

「………」



心配してくれるような言葉に驚いたけれど、からかわれるだろうからいつもどおりに。

何もせずに倒れていると毛布を被せてくる。



「ほら、寝とき」

「言われなくても寝るって…」



ベットに沈んでいると眠くなってくる。
ギンに言われなくてもそのうち眠るだろう。



「寝るまで居とこか?」

「……寝たら居なくなるの?」



冗談で言ったんだけど無言で返されたから案外効いたのかもしれない。


こんな会話をしてるうちに大分眠くなった。
……今度こそ眠ろうかな。






(あ、起きたん?おはようさん)
(……おはよ。まだ居た…って何、その机の上にある高額な請求書は)
(昨日の僕の晩御飯。ちなみに請求はなまえあてやね)
(出てけっ!!)



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