泣き笑い虫


泣き笑い虫




俺の彼女。

学年は同じだけど、歳が離れてる。


「ねね、優介」


年上ぶるつもりはないけど


「優介って何でも知ってるね!」


あの馬鹿さ加減はどうにかならないだろうか。




「優介!」
「ん、何?」
「このカードの効果がよくわからないんだけど!」

わからないならわからないなりにしおらしくすればいいのに。

「何回読んだ?」
「んーと……3回と少し!」
「じゃ、あと10回読んでみて」
「はい、優介先生!」

勢いよく挙手をしたかと思うとたたたと走って俺の学習机に座る。

そして素直にカードに穴があくかと思うぐらい見つめ始めた。

ぶつぶつと小さく動く唇を見て、俺は知らず知らず笑っていた。



アカデミアの生活にも慣れたと思う。

ただ俺が知っている人たちはもういない。
それを寂しいなんて言ってはいけないことは嫌でもわかってる。

何もかも俺が犯した罪なんだから。

闇ーダークネスーの代償なんだから。


「……すけ、優介ってば!」
「………………ん、何?」
「何じゃないよ、返事してくれないんだから!何トリップしてるの?!」


「うん……………ごめん」



「いーよ、優介だから!」





「…………ありがと、名無」


彼女は俺の好きな笑顔で笑う。
少しだけ、目頭が熱くなる。


「名無」
「んーなぁに優介?」
「おいで」

少しだけびっくりした顔をした彼女。

けれど頬を染めて大きく頷いた。


「…っえい!!」
「!!……名無、タックルしないでよ」
「だってだって嬉しくて恥ずかしくて死にそうなんだもん!!あー優介といられるって幸せだー!!」

「…本当、馬鹿だなお前」


腕の中に何か言う名無を閉じ込める。
小さくてすっぽりはいるサイズの心地良さ。

幸せな、奴。


俺は馬鹿な君に出会えて、本当によかった。





「名無…愛してる」
「…!!」


離れた唇と同じぐらいの赤い顔で名無が笑う。

俺はその笑顔と共に歩いて行こう。







(で、そのカード何?)
(ん?はい!!)
(……オネスト!?いつの間に!?!?)





Up、08/12/17


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