殺害裁判#


病的な程鮮やかにそれは浮かび上がる。


殺害裁判


女が醜く顔を歪め苦しむ姿を見て何が楽しいというのか。
藤原は名無の酸素を絶ち、その力をさらに強める。
「っ!………………ゅ………あ゙ぁ!!」
「君が悪いんだ………君が、吹雪のところへ………………僕から離れようとするからっ!!」

血流と共に締め上げられて名無はその藤原の腕という凶器に必死に爪をたてる。


この苦しみの罪はどちらにあるのだろう。


(違う違うちがうチガウちがう!!!優介!!!)

何も彼は聞き入れないだろうが、ただ名無は心のなかで叫び続ける。


己の罪状を。


「僕を捨てようとするから!!」

吹雪は悪くない。悪いのは私…と貴方。

憎む対象を失えばそれは己を苛み、蝕み、ひきちぎっていく。

呪いは回り、暗く輪廻に紛れて循環し続ける。




「っげほ!…げほげほっ!……ぁは…………ゆ、う………す…………け」
「僕は……君だけ…………………君にも僕だけなはずなんだ」

くっきりと首に両手の痕を残して藤原の手が離れる。

狂気が消えた彼の顔はくしゃりと歪み涙が伝う。


「ゆ、…………うすけ」
「名無……好きだ、愛してる……愛してる…吹雪のところになんていかないでくれ」


判決は、ただひとつ。



「大丈夫……私はここにいるから」
「…名無……名無」
「…優介だけが、好きだから」


対象、私の心
方法、嘘による毒死

対象、全ての真実
方法、破壊による轢死



対象、藤原の愛
方法、抱きしめたことによる圧死




懲役

この世界が終わるまで





Up、08/11/21


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