動機茶会


「大変だねぇ…子守も」
「子供はあんなに、母に縋るものなのかな」


動機茶会


昼下がり、本来なら授業の時間に吹雪と名無はカフェで紅茶を飲む。

ゆったりと流れる時間には似つかわしくない表情で名無は紅茶に口をつける。

「…どこが、まちがったの」
「計算式みたいにいうね。間違いなんてなかったんだよ」
「そう…じゃぁ過程と結果に齟齬がでるのは仕方ないの?」


「齟齬こそが、人生のスパイス。紅茶が楽しく飲めるレモンみたいなものさ」


愉快そうに吹雪が言う。
実際愉快で痛快で破壊的でしかないのだ。彼にとっては。

築いたものを壊す喜びに魅入られた男。
そしてそれに魅入られた女。

「…レモンはすっぱいから嫌、ミルクが良い」
「そう、なら君にとってレモンは毒のスパイスだね。」


藤原がかわいそうだ


なんて吹雪が耳元で囁いて去っていった。


「……かわいそうなのは私ではなくて?」
ミルクで見えなくしたい。

それが私の望み。






「どうした」
「何が?」
「顔がニヤついている」
「え、そう?」


やだな、亮にはわかっちゃうんだ。


「楽しいことがあったんだ」
「……聞かない方が良さそうなことだろうな」
「ひどいなぁ君は」



「俺は友人を無くしたくないからな」



「へぇ……………ね、きみはさ紅茶はストレート?」
「俺は緑茶派だ」
「そっか、じゃぁ何もいらないんだね」




手に入れたものは、必ず戻ってくる。

例え



紅茶に何を混ぜたとしても。






「僕はね、亮」
「何だ」




「例えそれが偽物のレプリカの食品サンプルでも手に入れたいんだ」


零さないようにね。

「………………何の話しだ」






「ん?ノミモノの話しだよ」



愛のたっぷり混ざった、ね。





Up、08/11/25


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