イコール


「あいらぶゆー」



イコール



「…を訳して下さい。はい、亮」
「…私はあなたを愛していますだろう?」

ぶーという言葉と小さな消しゴムが飛んできた。
彼女が放った消しゴムは自分の頭に当たり机を跳ねて床へ落ちる。
教室の床をころころと小さな消しゴムは転がった。

目だけで消しゴムを追ってから彼女へ戻すと、少し唇が尖っていた。

恋人のかわいいその仕種に首を傾げて尋ねた。

「何か間違っていたか?」
「間違いも間違い、おーまちがい!ゼロ点だね!」
「そうか…なら答えは?」
「聞いて驚くな!」

彼女は勝ち誇ったように言った。


「私はあなたの傍にいたいです、だよ!」


誇らしげに胸を張る彼女。
言われるとその訳は意外にあっているようだった。
しかし……嬉しいことを言ってくれる。
本人は何とも思ってないみたいだが、思わず唇が緩んだ。

「因みに吹雪は、あなたは私の最高の女性です。だって」
「吹雪らしいな…なるほど、そういう訳の仕方か」
「真面目なのは亮の良いとこだけどもう少し捻ってみようか…れっつシンキングターイム!!」

彼女は楽しそうにた席から立ち上がり、消しゴムを拾いに行った。
その後ろ姿を見ながら頭で反芻する。


あいらぶゆー
私はあなたに傍にいたい
最高の女性

愛しいひと
俺が彼女に伝えたい言葉

あいらぶゆー
いつもは言えない言葉

……………love、か





「…俺は」
「うん?」

消しゴムを拾いあげた彼女は振り返る。
期待に満ちた表情へまっすぐに答えた。

「…俺はお前に触れたい」
「……………ばーか」

とまた消しゴムが飛んできた。
今度は片手で受け止める。拳の向こうの彼女は顔が、赤い。

「それは、亮が、し…したい、ことでしょ!」
「そうかもな…だが間違ってはいないだろう?俺なりの百点の答えだ」
「…そ、それはそうだけど………きゃ!!」

抱き寄せた耳元で囁いてやる。



そんな話題をふっておいて逃げられると思うなよ。




「Could I love you ?」
「………………………いえす」


Up、09/12/15


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -