殺害本能
さぁ殺せ、私の愛ごと。
殺害本能
互いに一糸纏わず、乱れた呼吸で抱き合う。
本能に任せた情事はただの交尾でしかない。
子を残さない意味も意義もない、ただの………なんなのだろうかこの関係は。
「……ふぅ…満足した?」
「冗談だろ、まだだ」
「やぁね、絶倫」
「お互い様だ、淫乱」
皮膚から伝わるものなんてたかがしれてる、熱と欲と、あと殺気。
地下からはい上がってきた亮からかはそんなものしか伝わってこない。
地獄に愛なんていらないって教えこまれた身体。今はただ私を押し潰すように覆いかぶさる。
「………ん」
「寝るなよ」
「もぅ無理だってば……」
「ふん、どうだかな」
ヘルカイザーとしての笑い方は嫌いじゃない。
カッコイイなんて言う程私は小娘じゃないけど、歪めた彼の唇はとても好き。
食らいつきたいくらいに。
「私に言わなきゃいけない言葉があるん……ん!」
「…は、そんなものはない」
殺せ、愛を持たない行為こそが、殺人だ。
殺せ、愛を忘れたふりをした奴が、犯人だ。
貴方の愛で満ちた私のお腹をえぐって。
綺麗な色した私と貴方が混ざればきっと、鮮やかなピンク色。
愛を持たない私たちは互いに殺しあっている。
さぁ、まだまだ殺し合おう。
Up、09/01/05