リリック


*コミックエディション 吹雪双子姉




「やぁ明日香久しぶり」
「に、兄さん!?」


リリック


「そして…………久しぶ「ようもぬけぬけと帰って来れたわね吹雪」

名無のすらりと伸びた足が吹雪の腰の横にどかり、とたたき付けられる。

「…っと危ない危ない」
「…………ちっ」
「ダメだよ名無、レディは足なんかあげちゃ」
「足を上げたわけではないわ、蹴りを入れただけよ」
にこりと名無は吹雪とそっくりな笑顔。
遺伝子がなせる技は性別など気にしないらしい。

「家にまで連絡して頭を下げたのに、よくそれを…」
「名無、落ち着け」

名無の肩へ恋人の丸藤亮が軽く叩く。

「とりあえず、足を下げろ」
「…むー」

納得がいかない風だが、仕方なく名無は足を下げた。



吹雪と短期留学をかけたデュエルをしたのはつい2ヶ月前、接戦にまで持ち込んでー負けた。
その勝ち取った吹雪の為に頭を下げたのだ。もちろん理由は確かにある、納得もした。
しかしやはり気に入らない。

「吹雪、私とデュエルなさい。留学で女の子に腑抜けたその根性叩き直してあげるわ」
「えー僕らのデュエルは観客がいなきゃつまらないでしょ?」
「観客なんて必要ないわ、体育館裏で十分よ」
「イタイのはやだなぁ………そういえば体育館裏で思いだしたけど、名無」
「何?」
「何人だった?」
「何が?」



「亮がいない間告白された人数」



にこやかな吹雪に

目を見開く名無に



「ほぅ……そうなのか名無」

笑う亮。

「ふ、吹雪!何を…!」
「えーだって本当の事でしょ」
「ぐ………た、確かに」
「事実なんだな、名無」

後ろから亮の低い声が聞こえる。
前はニヤつく吹雪、やられたと思う前に背中の重圧に名無は首を縦に振った。

亮は嫉妬深い訳ではないがカイザーといえど、それは歳相応の反応だった。

けれども普段口数が少ない分、一言が重い。

「何人だ?」
「…えと、わかん…ないかな?数えてないし……………」
「最低一日一回……多い時には一日三「ふぶきぃぃ!!」

名無は勝手に暴露し始めた吹雪の口を塞ごうとした瞬間腕が引かれて、後ろに傾いた。
それが亮に引っ張られたと気付く前に




視界は深緑の髪でいっぱいになった。



一瞬、ドーム内の空気が固まる。



「!!!!」
「ひゅー熱いねぇお二人さん」


後頭部ががしりと押さえ付けられたまま、名無はぬるりと入り込んでくる舌を受け止める。
熱っぽい亮の愛を縋り付いて名無は必死に受け止めた。

「…ん………ふぁ…ぁ」
「…………名無」




離れた唇を押さえて名無は耳まで真っ赤にさせ、後ずさる。

「な、な、な、な……………!!」
「これで悪い虫はつかないだろう…なぁ?」


何もなかったかのようにふいっとまた亮はデュエル場を見下ろす。

それをきっかけにドーム内は黄色い声と嘆きの声に包まれた。






「いやぁ……やっぱりアカデミアは楽しいね!」

元凶の吹雪は笑いながらその阿鼻叫喚のドームをスキップしながらあとにした。





Up、08/11/11


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