高体温高温度


高体温高温度


「りょーうーくん!」
えいっと正面から座ったまま彼女に抱き着かれた。あまりに突然で彼女のシャンプーの香りが鼻を掠めてやっと理解した。
二人とも床に座って状態で、互いに暑さから制服を脱いで自分は半袖、彼女はノースリーブ。素肌に近い密着度に自分の胸が高鳴る。
「……………………っ!?」
落ち着かせるように、何度か深呼吸してーーーーさらに彼女の香りを吸い込んでーーーー落ち着けるわけが、ない。さらに心臓はばくつく。
ぎゅっとさらに力を入れて彼女は自分の首筋に顔を埋めてくる。(あぁぁぁ、やめてくれ!!)
彼女の髪が頬をくすぐった。
俺は、ただただ固まって…何を考えればいいのかわからない。
けど、どうしても考えてしまうのは

俺の左足を跨ぐ彼女の足と、胸板にあたる、弾力ある……………ま、まだ昼間だ!落ち着け自分!!

「りょーう………」
「な、なんだ!」
「あつーい……………あついよー」
「…………………………………あ、暑いなら、何故抱き着く」
「……抱き着きたかったから?」

わけがわからない、理解しがたい。暑いなら離れてくれ!!

「りょぉー」
「だ、だから、何だ」
「んー………久々だなぁと思って呼んでみた」
「何が久々なんだ?」
少し彼女は身体を離して表情をみせる。眉間にシワがよっていた。
「…………亮は、思わないんだ」
「………?」
どう反応すればわからず、沈黙を返せば少しだけ瞳がぎらりと光る。
「(怒っている…?)………す、すまない」
「んもう、謝ればいいってもんじゃないの!亮はすぐに謝るんだから!!」
「……すまない」
さっぱり見当もつかない彼女の怒りに情けないような気分になる。
「……………………こーゆーこと」
再び鎖骨辺りに顔を埋めて力いっぱい抱き着いて彼女は呟いた。
「…………………………ただ………抱き合ったりするの…………最近してないなぁ……………って」
「……そうか?」
「そーだよ」
そう言われてみれば………身体を重ねることはあっても、昼間などは並んで座ることもなかった、気がする。
全ては暑さ故だが、それを彼女がそんな風に感じていたとは思わなかった。
「あーあ……早く冬が来ないかなー」
「気が早いな」
「だってそうすればずっとくっついていられるもん……………あーあつーい…」
俺は彼女を支えるためについていた後ろ手を背中に回す。女性特有の柔らかさを腕で包みこむ。

いつのまにか、欲望の熱は小さく燻りの煙りに変わっていた。

「本当に、暑いな」
「うそー亮はいつも涼しい顔してるじゃない」
「俺だって人間だ、暑いものは暑い」
「うーん………まぁそうだよね、こうしてるけど亮も熱いもんね」
「お前も熱いな」
「当然だよー暑いもん」
不快な暑さの中の彼女の熱さは何故か心地よかった。伝う汗を無視して俺達は抱き合い続けた。
あついと、壊れたように言いながら。





「しかし、本当に…………………あついな」


あとは………また俺の欲望の燭が盛らないようにこの状態で耐えるだけだった。











(一緒に風呂に入れればな…)
(んー何か言ったー亮?)





Up、08/8/18


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