「えーでは、うちの出し物『男女逆転喫茶』のホールスタッフはこのメンバーで行きたいと思いまーす。伊達、猿飛以外で意見のある人ー?」

黒板に書かれたメンバー表に目を向けたクラスメイトが「ないでーす!」と元気よく返事をする。
よし、では次に行こうかという雰囲気になっている中、空気を読まず反対する者が約2人程いた。

「stop!大有りだ!!」
「ちょっ、待って待って。何で俺様達の総無視なの!?」

そう、先程事前に名前を上げていた伊達と猿飛である。
予想していた2人の反応に思わずめんどくさそうな顔をしてそちらに視線を向けた。

「だから、お前らの意見は聞いてないって言ってんだろ。」
「だから、何で無視なの!?俺と竜の旦那、裏方希望してたじゃん!!なんでホールになってんの!?」
「お前らより俺と猿の方がdishes上手いの知ってんだろ!?なんで俺が女装しなきゃなんねぇんだよ!!」
「おい、本音出てんぞ。……もちろん、客寄せの為に決まってんだろ。その無駄に整った顔を今生かさなくいつ生かすっていうんだよ。」
「なんか今日の明いつもに増して辛辣じゃない!?」
「気のせいだよ気のせい。」
「つか、なんで真田は平気なんだよ!!女装だぞ?skirt履かされんだぞ?なんでnaturalに受け入れてんだよ!!」

俺にいくら言ってもこれでは勝ち目がないと判断したらしい伊達が、同じく有無を言わさずホールスタッフに任命された真田を仲間に引き込む為に矛先を向ける。
しかし、いきなり話を振られたにもかかわらず、真田はいつもは使わない無駄にキリッとした顔で元気よく答えた。

「文化祭で使える甘味無料券を三上殿がくださると申したので。」
「旦那…!?」
「買収されてやがる…!!」

真田のいっそ清々しいと言える切り返しに2人が崩れ落ちた。
徐々に逃げ場を失って行っている2人の顔に焦りの表情が浮かんでいる。
何て言うか……



いつもスカした奴の焦り顔を見るのは楽しいね!!


「……っお前にprideはないのかよ!!」
「ちゃんとあるでござる。しかし、今回はお館様に女装も修業の内よと申されましたゆえ。」
「旦那…そんな修業はないよ……!!大将もなんてこと言っちゃってくれてんの!?」
「武田先生は笑って賛成してくれたよ。猿飛の女装も楽しみにしてるって。」
「嘘だろぉぉおおおお!!」

猿飛、陥落。
猿飛が完全に落ちたのを確認し、次のターゲットである伊達に狙いを定める。
自分に照準が換わったことを察知した伊達はビクゥッ!!と大袈裟に反応し、ジリジリと後ろに下がり始めた。

「んだよ…全員でそんな目で見ても俺はやらねぇからな。」
「いや、やるやらないは聞いてないから。これはもう決定事項だからな。あとは伊達が腹を括るだけで。」
「おい!!」
「あーあ。伊達の好敵手である真田はやるって言ってんのに、伊達は逃げるんだぁ。敵前逃亡しちゃうんだぁ…………情けなっ。」
「なっ!!」

よしよし、大分揺れて来てんな。
これはあと一押しかな?
……え?いつもと性格変わってる?
あっはっは。
だって、いつもスカした奴をギャフンと言わせられるチャンスなんだぜ?
今、積年の恨みを晴らさずしていつ晴らすってんだよ。

「……っつか、なんで三上はしねぇんだよ。」
「え?」
「だから、俺らに女装しろって言ってるお前はなんで裏方になってんだよ!!お前だって女装向きのk…「ふっふっふー。そう来るのは予想していたよ伊達!!だが甘かったな!!」
「んだと…?」
「俺ね、文化祭実行委員になっちゃったの。ほら、体育祭で借り物競走の時、会長に協力して貰っちゃったじゃん?あれさ、会長がタダで協力してくれるわけなかったわけで。俺は文化祭中は会長のパシリに任命されたんだよ。」

半分嘘だけどな。
パシリは本当だけど、報酬は弁当だったし。
まぁ、でっち上げとして使わせて貰うぜ。

「で、会長のパシリ…つまり、めっちゃ多忙になるの俺。だからクラスの出し物とか長く居座れないんだなこれが。だから、長時間を割く接客関係のホールスタッフは無理ってわけ。you see?」
「あ…I see……」

「負けた…」と呟きながら崩れ落ちた伊達に俺は勝利を確信する。伊達、陥落。
その瞬間、クラスから俺に向けての賞賛が上がった。


この長き戦いは俺、三上明の勝利で終わったのだった。

文化祭の実権って実行委員会が握ってるよね

(女装…女装…か……。)
(竜の旦那…お互い頑張ろうね……)
(あぁ…)
(逃げるのってアリかな…?)
(ちなみに、どっちか逃げたら連帯責任として2人ともミニスカメイドで学校中練り歩いて宣伝に行って貰うから。)
((!?))




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