「秀吉、織田が動きました。」
「よし、戦の準備だ。」


辺りを喧騒が飛び交う。
なんな中、焦ることなく的確に部下へと指揮を飛ばす半兵衛。
相手を罠へと嵌めていく吉継。
敵を切り倒しながら前へ前へと突き進む三成。
影からの敵を消していく三笠。
見事な連係プレイに俺は心の中で拍手喝采。
うちの軍すげぇ。

……え?俺は何しているんだって?
傍観だよ、傍観。
こういう時って、本当は大将である俺が一番動かなくちゃいけないのは分かっているんだけどね、うん。
半兵衛からラスボス出てくるまで動くなって脅されました。
豊臣の主導権を持っているのは俺ではなく半兵衛です。
一応、決定権を持っているのは俺だけど、あんまり意味はありません。ぐすん。

ダァン……

突如、辺りに響き渡った銃声に周りにいた半兵衛たちの纏う空気が変わる。
ついに出て来た相手に俺も気を引き締めた。

「……来たか。」
「今回は意外と早かったね。どうする秀吉?」
「三笠、相手の位置は分かるか?」
「三成君が既に森蘭丸と交戦中。」
「どんだけ前に行ってんだあいつは…吉継、三成のところに加勢に行って来い。」
「あいわかった。」
「あとは………上です!!」
「はあっ!!」

三笠の言葉が早いか、上からの殺気に三人同時にその場を飛び退る。
一秒後に降って来た銃弾の雨に背中を汗が伝った。

っぶな!!
今の、反応遅れてたら確実にお陀仏だったよ!?
毎回思うけど、本当に織田の方々容赦ないよね!!

濃姫との戦闘に入った半兵衛を視界に入れつつ、残りの二人の気配を探る。
しかし、相手も戦国武将。
そう簡単には気配を掴めない。
背後を守るように武器を構える三笠へと視線を向ける。

「……三笠。」
「南西と北東に気配が一つずつ。南西は俺が行きます。」

つまり、もう一つが信長さんですか。
互いに小さく頷き合い、同時に駆け出す。

そう時間もかからないで、俺は目的の人物の元へたどり着けた。
理由は簡単。
相手が俺がこちらに近づいて来るのに気が付くと、今まで微塵も感じさせなかった殺気を爆発させたからである。
にしても、いつもいつも殺気が半端ないです。信長さん。
正直、毎回失神したくなるよ。

圧倒的なオーラを放つ信長さん。
俺は、握りしめていた刀を鞘へと納めると、拳を握りしめ腰を低く落とす。
すると向こうは。何の躊躇いもなくこちらへと発砲してきた。

「っ!!」
「豊臣、我が配下に下れ。」
「何度来ても返事は同じだ、断る。」
「ならば、貴様を消し去るのみよ!!」

信長さんの背後に魔神が現れる……ってちょっそれ、3限定じゃなかったの!?
スタンドとか反則だろ!?

スタンドからの攻撃を前世のプレイを必死に思い出しながら、避ける防ぐ弾き返す。
ちょっ、マジで怖いんですけど!!
マグマとか、飛行してくる物体とか!!
涙目になりながら、スタンドが消える時を待つ。
そして、必死の防御の末に待ち望んだ瞬間。

「っはぁぁああああああ!!」

信長さんからスタンドが消えたのを確認すると、拳に婆裟羅を込め、それを信長さん目掛けて放つ。
相手もそれは予測していたのか、慌てる素振りも見せず冷静に刀へと婆裟羅を込めると、それを振り下ろした。




その一撃は周りをも巻き込んで大きなクレーターを作り、これ以上の戦闘は不可能となった戦は、引き分けという形で幕を閉じたのだった。










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