それは、一枚の写真の発見よって起こった出来事だった。



ハロー、みなさんこんにちは。
長曾我部元親に成り代わっちゃった三上明です。
俺は今、毛利監視の元、西軍総出で部屋の掃除をさせられています。

本当、なんでこんなことしてんだろ俺。
まぁ、確かにちょっと。
ちょーっと散らかってるけどさ、足の踏み場と座る場所はあるんだからよくね?
俺の部屋なんだから俺の好きにしてよくね?
なんで、俺ん家のカラクリぼったくりに来た毛利にケチつけられきゃなんないの。
そして、みなさん手伝わせてすいません…

「それにしても、鬼の旦那よくこれだけ散らかせたねー。大将以上にスゴイよ、これ。」
「うるせぇ!!勝手に捨てんなよ!!」
「これはなんでござるか?」
「おい、勝手に触んな!!」
「貴様は口ではなく、手を動かさぬか。」
「長曾我部、これはどうする?」
「あ、それ無くしたと思ってた部品……ちょっそこは…!!」
「……ん?なんだ、これは。」

本の積み上がる場所をはたきで叩いていた石田が本と本の隙間から薄い何かを抜き取ると、その瞬間、小さい振動にも耐えられなくなっていた本の塔が石田を巻き込んで倒壊した。

「石田殿!?」
「ちょっ、大丈夫か石田!?」

慌てて真田と2人がかりで石田を掘り起こす。
発掘された石田は埃まみれになっていた。

「ゴホッゴホッ…なんだこれは!!」
「うわー、また埃まみれ…」
「何故、棚に入れて置かぬのだ貴様。」
「そこが一番便利だったんだ。仕方ねぇだろ。」
「やれ毛利、この調子だと長曾我部はいま片付けても、すぐに戻すことが目に見えているぞ。」
「何度でもやらせるまでよ。」
「あのー、その度に手伝わされるのは勘弁して欲しいんだけど。」
「……ん?石田殿、その手に持っているものはなんでござるか?」

真田の言葉に石田の手へと視線が集まる。
指摘された石田は、思い出したと言うように手元の紙らしきものへと視線を下ろした。

「……なんだこれは。」
「絵…でござるか?」
「絵にしては出来すぎじゃない?」
「やれ三成、われにも見せてみよ。」

群がる男ども。
絵だの紙だの言うものを確認しようとしてみるが、大谷が邪魔でみえない。
ちくしょう、なんで輿に乗ってんだよ。
絶対わざとだろ!!

「それにしても、この子達…だれ?」
「寄越せ。」

いつの間にか輪の中に乱入して行った毛利が石田からそれを奪い取る。
横からそれを覗き込むと、それは凄い昔に撮った写真だった。
……え?写真がなんで存在してるかって?
そりゃもちろん、BASARAだか…嘘です、すいません。
俺が小さい頃に作りました。
本当、ここってなんでもありだよね。
カメラは無いけど材料はあるとか。
前世でチラッと見た資料を記憶のある範囲でふざけて作って、使ったら魂取られるー!!とか騒がれました。はい。

にしても、懐かしいものが出てきたなぁ。
あの時作ったカメラは毛利に破壊されちまったし………って。

「うぉぉおおおお!!」

毛利から写真を奪い取る。
写っていた人物は小さい頃の毛利と俺だった。
……姫若子な。

えぇ、俺も幼少期は女装してましたとも。
俺の意志じゃないがな!!
俺の意志とは違うからな!!
病気がちな俺を心配した両親が無理矢理着せてただけだからな!!
断じて自分の意志ではない!!
大事なことなので2回言いました。

てか、これ誰が撮ったんだ!?

「なっなんで、それがここにあんだよ!?」
「知らぬわ。貴様がきちんと整理していなかったからであろう。」
「長曽我部殿達は、この子達を知っているのでござるか?」
「なんとなく、こっちの子は毛利の旦那っぽいよね。え、もしかしてこの姫さん、毛利の旦那の許嫁?」
「んなわけあるか!!」
「フン、それはそこにいる長曾我部よ。」

毛利のカミングアウトに周りの視線が刺さる刺さる、突き刺さる。
……目は口ほどにものを言うって本当だったんだな。
これが俺だって信じられないことくらい分かってるよ。
だから、そんな目で俺を見るな!!

「……これが?」
「……長曾我部殿でござるか?」
「先程からそう言うておろう。」
「……え?あの子が鬼の旦那で、鬼の旦那があの子!?」
「………そうだよ、悪かったな。女じゃなくて。」
「嘘だろぉぉおおおお!?」

猿飛が頭を抱えて絶叫する。
真田も頭がオーバーヒートを起こしたのか、頭から煙を出していた。

「もはやこれ、忍の忍術並じゃん…」
「……ずいぶんと、変わられましたな」
「俺の意志で着てたんじゃねぇよ!!」

もういいだろ俺の過去なんて!!
あ、毛利、どさくさに紛れて懐にしまうな!!
燃やす!!
婆裟羅で燃やしてやるぅぅうううう!!

「昔の俺なんてもういいだろ!!さ、掃除掃除!!」
「あー、でもちょっと見てみたかったかも。小さい頃の鬼の旦那。」
「なら、着せてみればよかろう。」

振り返った先にいたのは石田と大谷の2人。
何故か石田の腕には様々な柄の着物。
そして、大谷はものすごくいい笑顔で空中に装飾品を浮かべている。
………何故だろう。嫌な予感しかしない。

「おっおい、それをどうする気だ…?」
「無論、ぬしが着るに決まっておろう。」
「……それは女物だろ?俺じゃあ入らねぇに決ま………」
「それなりに大きいものを集めた。貴様でも入る。」
「いや、よく考えてみろよ石田。俺が女装する流れになってるとかおかしいだろ。」
「フン、知るか。」
「いや、知ろうぜ!?」

ジリジリ、ジリジリ。
石田が着物を手に前進するごとに、俺は逃げるように後退する。
しかし、そんな攻防も面白がって大谷側に回った猿飛達によって阻まれた。

「離しやがれ!!」
「ごめんね、鬼の旦那。俺様、自分に正直だから。」
「申し訳ござらぬ、長曾我部殿。」
「謝んならすんなよ!!ちょっ、毛利も何か言えよ!!」
「フン、いい眺めだな。」
「てめっ…ちょっやめっ…!!」
「行くぞ。」
「うむ。」
「いつでもいいよー」
「ぎゃぁぁあああ!!」



その後、綺麗に化粧までされた俺はやつらに散々からかわれ、後の戦で独眼竜達にまでネタにされるのであった。
………四国に帰っていいですか?










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