学園BASARA! | ナノ


神様は俺に微笑む気がないらしい。


思えば今日はよくぶつかって何かをぶちまけてる日な気がする。

朝は寝坊して古い少女マンガのようにパン加えて走ってたら曲がり角で人にぶつかって鞄の中身をぶちまけた。
昼は授業中に居眠りしていたのが先生にバレて慌て起き上がった時に机の角に体をぶつけて上に乗っていた教材をぶちまける。
そして放課後。
居眠りしていた罰として今日休んでいる学級委員長の代わりに生徒会室に書類を届けるように命じられた俺は、またまた廊下の曲がり角で人にぶつかった。

ホント今日はぶつかる日だなオイ。
あれか。今日の占いで俺は最下位だったってのか。
んでもって「今日はよく人にぶつかります注意しましょう。」とか言われてたんだろうな多分。
見てないから知らないけど絶対にそうだ…!!

「すいません…あの、大丈夫ですか?」
「いてて…あぁ大丈夫だ。こちらこそすまん……って三上じゃないか。」
「え…?」

恐る恐る顔をあげると、そこにいたのは俺と同じように尻餅を付く家康だった。

「あー…こんにちは徳川先輩。」
「あぁ。それにしてもこれは…」

ちらりと周りに散らばる無惨な書類に視線を送る。
あちゃーやっちゃったよ。

「うわー……順番が滅茶滅茶…」
「本当にすまん三上。わしも手伝う。」
「いえ、こちらこそすいません……図々しいとは思いますがお願いできますか…?」

顔を見合せ、小さくため息を吐いて散らばる書類をかき集める。
2人で集めたおかげで書類はほんの数分で集まった。

「本当にありがとうございました!!」
「これで全部か?」
「はい。これで全部だとおも…ん?」

最後の書類を家康から受け取ると数を確認する。
ひいふうみい…あれ?

「……先輩、そこらへんにはもうないんですよね?」
「あぁもうないぞ。どうした?」
「………1枚足りない…」
「は?」
「書類が1枚足りないんです…!!」

何度数えても数が合わない。
……

うわぁああ!!無くした!!
大切な書類無くした!!
なんか中にすっごい大事なのも混じってるって言ってた気がするんだけど…!!
ヤバい!!俺殺される!!
近くを見回すが紙は1枚も落ちていない。
まさかそこの窓から落ちたんじゃ…!!

「何してるんだ三上!?落ちるぞ!!」
「もしかしたら風に乗って窓から落ちたかもしれません。俺、取ってきます!!」
「待てここは3階なんだぞ!?わしが行くからお前は待っていろ。」
「こんなことまで先輩にさせるわけにはいきません!!俺が行きます!!」
「一般人にこの高さは危険だ。わしが行く。」
「こう見えて俺、結構運動神経いいんで大丈夫です!!」
「いや、もし万が一のこともあるだろう?わしが行く!!」
「俺が行きます!!」
「わしが行く!!」
「俺!!」
「わし!!」
「何をやっているんだ貴様は…」

もはや意地の張り合いのようになっていた口論に突然介入して来た声にピタリと動きを止める。
家康と2人、窓の縁に足をかけて外に飛び出そうとする光景は傍から見たら奇妙な光景だったに違いない。
つか、下手をすると騒がしい自殺志願者…?
今になって自分の行動に後悔した。

慌てて窓の縁から足を下ろし、家康の体に隠れて見えない生徒にこの状況の理由を弁解すべくが見える位置へと移動し…た……え?

「三成!いや、ちょっとそこで三上とぶつかってしまった時に書類が1枚外に飛んで行ってしまったらしくてな。下にないか見に行こうとしていたんだ。」
「ったく、トイレへ行くと言って中々帰ってこないと思ったら何馬鹿なことをしているんだ。」
「いやーすまんすまん。これが終わったらすぐに戻る。……ん?三成、それはなんだ?」

家康が差した三成の手には1枚のプリント。
なになに。文化祭クラス企画は男女逆転喫茶…?
ベタだなー
つか、男女逆転って女装するやつの顔がよくないときっついよなー……って。

「あー!!それだ!!」
「…は?」
「先輩!!無くなったと思ってたプリントってそれです!!」
「何!?三成、それ何処にあったんだ!?」
「何処って…この先の廊下だが……これはお前のか?」
「はい!うわーよかった。見つかってよかった…!!」
「よかったな三上!」
「はい!!」
「そうか。この馬鹿が迷惑をかけたな。」
「えっいや、そんなことはないですよ。俺も急いでたんで…あ、ありがとうございます。」

渡されたプリントを受け取り、もう一度枚数を確認する。
ひいふうみい…うん。
今度はちゃんと揃ってるな。

「本当にありがとうございました。」
「困ったときはお互い様だ。」
「たまたま拾っただけだから気にするな。」
「っと、そうだ!三上、こっちはわしの友の石田三成。三成、こっちは後輩の三上明だ。」

さわやかに家康が互いを紹介した瞬間。
三成の表情が消えた。
……え?何?

「……三成?」
「明…だと……?」
「…はい明ですけど……ひっ!!」

三成はカッと目を見開くと一瞬で俺の前まで移動し、両肩を鷲掴みした。
え、刹那!?
ちょっ怖っ!!
めっちゃ怖いです三成さん!!

「三成!?」
「……」
「あの、みっ…石田先輩……?」
「……」

エマージェンシーエマージェンシー。
俺、ピンチです。


神様は俺に微笑む気がないらしい。


(三成?おい三成!!)
(……)
(石田先輩…?)
(……)
((ひいいい!!沈黙が怖い…!!))


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