学園BASARA! | ナノ


なんだかんだ言って武将はみんな武将らしい。


あのドッチボールから早3日。
何故か俺は、猿飛達と共に過ごすことが多くなっていた。
いや、違うな。
あれ以来、猿飛が異様に俺に話かけるようになって、それを見た真田や伊達がそれに便乗して来たっていうのが正しいのかな。

まぁ兎に角、武将との関わりが大幅にアップしてしまったわけだ。あっはっは。
……全くもって嬉しくない!!

彼らとの関わりが増える=バレる可能が高まるとか冗談じゃないよ!!
俺が…これまでどれだけ頑張って来たことか……!!
正体がバレたら俺、殺される気がする。
半兵衛とか三成とか吉継とかに。
彼らが血眼になって秀吉様を探してるって言うのはあちらの人達の間では有名らしい。三笠談。
迷惑かけてすいません。


「あ、いたいた。三上、今日暇?」
「……猿飛?何が?」
「放課後だよ。いやね、旦那達が部活動見学に行きたいらしいんだけど、一緒に行かない?」
「パス。部活動見学は建前でどうせ、お守り1人押し付ける気だろ。」
「あ、バレバレ?なら話は早い。俺様助けると思ってさぁ手伝ってよ。」
「まぁ暇っちゃぁ暇だからいいけどさ。……ちなみに何部?」
「剣道。」

その二文字に顔の表情が固まる。
待て待て待て待て。
剣道って…三成いんじゃん!!
無理無理!!絶対無理!!
俺、演技派じゃないから絶対バレる。
今でさえいっぱいいっぱいだっていうのに…!!

「俺パス。じゃ!」
「ちょっ、三上!?」
「はーなーせー!!俺は帰るんだ!!俺は先端恐怖症なんだよ!!剣道怖い!!」
「この前、旦那達と掃除中ちゃんばらしてなかった!?」


で、あんなこと言いながら揉めてたら残りの2人が来て、そのまま連行されました。
俺ってホント運ないよなぁ…とほほ。
唯一の救いは三成が生徒会でいないことかな。
これでいたら俺は終わってたな、うん。

ちなみに、部活を体験しているのは伊達と真田だけで猿飛と俺は隅っこで見学中です。
ホントにお守りだったよ。
てか、俺いる意味あんのか?

「うわぁ、先輩が吹っ飛ばされてるし…」
「まぁ、旦那達だしね。」
「前々から思ってたんだけど、お前らの身体能力どうなってんだ?飛び抜け過ぎだろ。」
「そう?それ言ったら三上も相当いい方なんじゃない?」
「俺が?」
「この前の体育の授業の時、俺様のボール受け止めてたし。あれ、結構本気で投げてたんだけどなぁ。」

俺様ちょとショック。
猿飛はそう言ってチラリと、こちらを見る。

……おおっと、これはもしかして疑われてる?
まだ入学して1ヶ月も経ってないのに、もうバレた?
早くないっすか。
目が忍の目になってますよ、猿飛さん。

「あー、ボール遊びは小さい頃から兄貴とやってたからじゃないかな。」
「へぇ、三上って兄弟いたんだ。」
「大学生の兄貴が1人。全く似てないんだけどね。」
「………あれ?そこにいるのは猿飛じゃないか。」

明らかに猿飛とは違う声に、2人同時に振り返る。
そして、その視線の先にいた人物に俺は固まった。
どうやら神様とやらはとことん俺のことが嫌いらしい。

「あれ?徳川の旦那じゃん。」
「やはり猿飛か。久しぶりだな。」
「こっちでは初めましてじゃない?確か2年だっけ、よろしく徳川センパイ。」
「先輩はむず痒いからよしてくれ…ん?そっちは友達か?」
「初めまして、クラスメイトの三上です。」
「ちょっ、クラスメイトって…俺様達友達でしょ!?」
「……クラスメイトです。」

うおっ、猿飛の口から友達と言う言葉が出て来てちょっとびびった。
それにしても、自分で言った後でなんだけど、なんかあからさまな気がするなぁ…
あぁ、横からの視線が痛い。
無意識に墓穴掘って行ってる気がするよ…

「お前が真田達以外と仲良くなるなんて、珍しいこともあるんだな。」
「まぁ、時代が時代だしね。こう見えて俺様、友達多いよ?」

俺を挟んで和気藹々と話す2人。
家康は気づいてないからだろうけど猿飛は絶対にわざとだ。
たまに探るような視線を感じるし。
意味が分かる分、凄く居ずらいです。

「そういえば、真田はどうしたんだ?」
「旦那ならほら、あそこで竜の旦那と部活を体験中。」
「猿飛と三上は参加しないのか?」
「俺様はお守りだよ。あの人達が無茶しないようにね。」
「俺は猿飛に無理矢理連れてこられただけなんですけどね。というか、部活自体入る気はないんで。」
「そうなのか。……そうだ、2人共ここで見ているだけなのなら、ちょっとワシと一緒に来てくれないか?」
「「は?」」



「……これはどういうことですか?」

家康に連れられて来たのは、ボクシング部の部室。
そして、何故か俺は家康と共にジャージ姿でリングの上。
え?え?これ、どういうこと?
なんかいろいろと可笑しくないですか?

「あの、先輩……?」
「どっからでもかかって来ていいぞ三上!」
「いやいやいや、なんでこんなことになっているんですか!?俺、何処の部にも入る気はありませんよ!?」
「三上、徳川の旦那は手強いよー頑張って!!」
「何、悠長に見学してんだよ。お前がやればいいだろ!!」
「俺様、ボクシングは専門外でーす。」

飄々と白を切る猿飛に殺意が芽生える。
イラッと来たので、あとで真田辺りに言いつけてやろうと思う。うん。

「どうした、遠慮なく来ていいぞ三上!」
「来いと言われましても……俺、ボクシングなんてしたことありませんよ。」
「なら、こちらから行くぞ!!」
「へ?……っ!?」

突如、目の前に迫って来た拳に本能的にしゃがみ込む。
恐る恐る見上げると、つい先ほどまで俺の頭のあった辺りには家康の拳が突き出されていた。

あっぶねぇぇぇええええええ!!
ちょっ今、本気だったよね!?
かすかにだけど、殺気を感じたよ!?
目が本気だったよ!?

「ちょっ殺す気ですか!?」
「これを避けるとは…よし、ワシも少し本気を出してみるか。」
「話聞いてくださいってうぉっ!!」

風を切るように再び振るわれた拳を慌てて避ける。
顔をあげて、完全に戦闘スイッチ入っちゃったらしい家康と目が合うと、俺の顔から血が抜けていくのを感じた。
あれ?これって死亡フラグ?

「先…ぱ……い?」
「行くぞ!!」
「行かなくていいです!!」

逃げることに夢中になっていた俺は猿飛が俺を観察していたことに気付かなかったのだった。



なんだかんだ言って武将はみんな武将らしい。

(ちょっ先輩、ストップ!!落ち着いてください!!)
(どうした三上、逃げていても勝負は決まらないぞ!!)
(俺の負けでいいんで拳止めてくださいぃぃいいいい!!)
((徳川の旦那の拳を避けてるなんて、三上は何者なんだ……まさか。))
(危なっ!!先輩、今拳光りませんでした!?)
(気のせいだ!!)
((婆裟羅使ったよこの人!!))
((……もう少し、様子見かな。))


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