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学校行事で何も起こらないわけがない。 その2


綱引きは俺の予想通り白の圧勝。
なんて言うか…うん。いろんな意味で凄い試合だっな。
相手は腰を落として力いっぱい引いてるのに、こっちは俺以外みんな片手(メンバーがメンバーだったのでハンデが付いた)だったのに……みんな直立して1ミリも動かなかった。このチームすげぇ。
……まぁ、少しは俺が前だったってのもあるかもね。
俺、こんな見た目だけど力は秀吉様のまんまだし。
なんだかんだ言って俺も直立だったし……ちょっと本気出しました。


そして、この綱引きから白の逆襲が始まったのだった。

中盤に向かうにつれて競技がスピードよりもパワーやテクニックを使うものが出てきたおかげか、なんと白は赤青と2倍近くあった点差を5点差まで縮めたのである。
俺も途中障害物競争に参加したが、それは惜しくも2位だった。
猿飛と走順違うって喜んでたらまさかのかすがと同じだったんだ……
障害物競争とか元忍からしてみればなんともない競技じゃんか…
元忍にはどう頑張っても勝てなかった。
で、次の競技はというと…

「お約束の展開ですね、何となく予測はしてたよ。」
「三上、目。目が死んでるから!!」

横に並ぶよく見る顔ぶれに思わず遠い目をしてしまう。
まぁ今のセリフで俺の言いたいことは大体理解していただけているだろう。
そう、何の因縁か借り物競争の同じ走者がメンバーが皆1年の武将組なのである。
……白を除いて。これはどんないじめだ。

「あぁ…回りからの黄色い声援が痛い……」
「これはおもしろい組み合わせじゃねぇか。よし、勝負しようぜ。」
「は?何言ってんのやらn…」
「望むところでござる!!見ていてくだされお館さまぁぁあああ!!」
「なんなら何か賭けない?1位の人にビリのやつが今度学食奢るとか。」
「それって俺は参加しなくていいんだよね?おーい、聞いてる?」
「AHー…そうだな。OK、それで行こうぜ。鶴姫、お前も参加な。」
「望むところです!!お互い頑張りましょうね明さん!」
「あれ?これ決定?俺も強制参加なの?」

あれ、なんでだろ。
横にいる鶴ちゃんの顔がぼやけて見えないよ…
そうこう言っている内に前方の走者が次々とスタートして行き、気がつけば俺達の順番になっていた。


「よーい!」

パァンと言う気持ちのいい音と共に一斉に設置された箱に向かって駆け寄る。
初めにそこへ辿り着いたのはやはりこの中で一番足の速い猿飛だった。
それから少し送れて伊達と真田、俺、鶴ちゃんの順に箱の中に手を突っ込んで行く。
適当な1枚を選び、それを開いた俺は指定された内容にピシリと固まった。

『お題:頭が上がらない人。』

……頭が上がらない人…?上がらない…人!?
って、え!?ちょっどういうこと!?
これ借り物競争だよね?借りるのって物じゃなくて者なん!?
しかも頭が上がらない人ってどういう意味で!?
場合によっちゃ危ない感じに聞こえるんだけど!!
あ、そう言えば他のメンバーはどうだったのだろう……
チラリと横を盗み見ると、項垂れる猿飛と顔をしかめる伊達しかいなかった。

「……真田と鶴ちゃんは?」
「顔を輝かせて大将と風魔を探しに行ったよ。」
「輝かせてってことはいいのが当たったんだな。いいな…猿飛は行かないのか?」
「俺様は…駄目だ。かすがのところに行っても来て貰える気がしない………」
「つまり、アンタらもお題が人だったってわけか。」
「ってことは伊達も?」
「あぁ。……ったく、誰だよこんなお題考えたやつ。小十郎連れて行こうにもこれ見せたら後で小言が飛んでくるじゃねぇか。」

微かに見えた2人の紙には『いろんな意味で恐ろしい人』『同期の人』と言う文字。
あー…これは行きたくても行けないわな。特に伊達。
つか、猿飛のお題って昔なら可能だけど、今じゃ違うから駄目なんじゃね…?

「三上のは?」
「俺はこれなんだけど、心当たりの人がいな……あ。」

いた。居たわ、頭が上がらない人。



「ってことで、一緒に来てください。」
「断る。」

やって来たのは生徒会本部。
俺はそのど真ん中に座る毛利元就会長の前で土下座していた。

「いきなり何しに来たかと思えば…一緒に競技に出て欲しい?貴様が出ていたのは借り物競争ではなかったのか?」
「ものはものでも人の方だったんです。」
「何故我がそのような競技に参加しなければならぬのだ。」
「この競技に負けられないんです!!」
「はぁ……お題は?」
「頭が上がらない人。」
「他を当たれ。」
「ちょっ待ってください!!」

立ち去ろうとする元就の足へ慌てしがみつく。
その瞬間周りの空気が凍った気がした今はそんなの気にしてられない。

「お願いです一緒に来てください。じゃないと俺、あの大食いどもに学食奢ることになって出費が…今月の出費が…!!」
「そんなに負けたくないのなら竹中のところに行けばいいではないか。貴様、竹中には頭が上がらなかったではないか。」
「何でそこで竹中先生が出てくるんですか!!先生とは話したこともないから頭が上がらないとかないですよ!?」
「何を言っているとよt…」
「三上です!!マイネームイズ三上明!!」
「……そうであったな。…仕方がない。行くぞ明。」

元就は大きな溜め息をひとつ吐くとグラウンドの方へと足を向けた。
一瞬、元就の言葉の意味が理解出来ず呆けてしまったが早く来いと言う元就の声に慌てて立ち上がりその後を追いかける。

「どういう風の吹き回しで?」
「貸し1つぞ。代わりに貴様の弁当を寄越せ。」
「今日の?別に構わないけど…そんなのでいいの?後で変なの要求するのなしだからな。」
「貴様…そのようなことを言うならもう行かぬぞ……!!」
「わー!!すいませんすいません!!さっさと行きましょう!!」


結局、勝負は真田が1位で猿飛がビリという結果だった。
項垂れる猿飛の姿に少しだけ同情したが、言い出しっぺはあいつなので自業自得だと思う。



学校行事で何も起こらないわけがない その2

(あ、明おかえり。会長さんに何もされなかったかい?)
(何をされるって言うんですか。)
(いや、パシりとか…あれ、三成?競技はどうしたの?)
(……三上、だったか。)
(へ!?は、はい三上ですが。)
(私と来い……いや、来ては頂けないでしょうか。)
(…へ?(何故に敬語!?)別に構いませんけど……ちょっ先輩!?)
(明!?……行っちゃったよ。)
(……あれ?慶次、三上は?)
(あ、家康。三上なら今、三成が連れてっちゃったよ。)
(あー…出遅れたか。)
(ちょっと遅かったね。そう言えば、お題はなんだったんだい?)
(ん?……なんだと思う?)



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