学バサ主が俺日秀吉様の所にトリップしちゃったら


「へ?」

部屋から一歩出た瞬間に感じた浮遊感に下を見ると、そこにはあるはずの板張りの廊下の代わりに黒い空間が広がっていました。
え!?ちょっ!?



「うわぁぁあああああ!!いだっ!?」

有無を言わさずその黒い空間に吸い込まれた俺は、一瞬かそれとも1日以上かは分からないが幾分かの時を経て地面へと叩き落とされた。
ちょっホント何なの一体!?
あのブラックホールみたいなのは何!?
結構高い所から落とされたせいかはたまた打ち所が悪かったせいかズキズキと痛む部分を擦りながら涙でぼやける視界で辺りを見渡すと、なんと古き良き日本庭園が広がっていました。
どういうこと?

……これはあれなんだろうか。
転生を2回(内一度は成り代わり)を体験した俺は今度は普通のトリップを体験してしまったのだろうか。
いや、トリップ自体が普通に起きる事じゃないんだけどね、なんかこう何回も体験するとあぁまたか…みたいな感じになって来るんだよね。
そういえば俺って合計年齢…やめよう。自分で言って悲しくなって来た。
てかさ、さっきから辺り観察してて思ったんだけどさ、なーんかこの風景見覚えがあるような気がするんだよね。
こう、一つ前の豊臣秀吉時代の……


「動くな。貴様…何者だ。」

真横から首に添えられた冷たい感触に体が硬直する。
何とか視線を動かし、捕らえた彼…石田三成の姿に俺が確認するまでもなくここがBASARAの世界だということを知った。
……もうこの展開については突っ込まないが、一つだけ言わせてくれ。
ホント俺ってこの世界ばっかだな!!

「貴様、私の話を聞いているのか?」
「へ!?あっはい!!でも、何者かと聞かれましても俺自身今の状況をきっちり把握出来ていないわけでありまして…!!」
「状況が分かっていないだと…?貴様、まさか秀吉様の御命狙って…!?」
「してませんしてません!!そんな崇高なるお方の御命狙える度胸なんて俺にはありませんから!!誰かへる…じゃなかった。助けて!!」
「刺客は皆そう言うものだ。やはり貴様…」
「ぎゃーっ!!!」
「わー!!待て待て三成!!落ち着くんだ!!」

いつまで経っても来ない衝撃に恐る恐る顔を上げると、何処から現れたかは知らないが家康が三成を羽交い締めにして刀を奪っている所だった。

「何をする!!離せ家康!!」
「無闇に刀を振り回すな!!三成だってさっきこの子が黒い空間から出てきたのを見てただろう?」
「それとこいつが刺客でないことがどう繋がると言うのだ!!もし、刺客だったとしたら秀吉様の御命が!!」
「刺客でなかった時はこの子命はどうなるんだ!!ここは一度半兵衛殿と秀吉殿にお伺いして…」

言い争う2人を前に俺は呆然と立ち尽くした。
えっと…これはどうすればいいのだろうか。
話していることは俺のことなのに、俺の存在を忘れているというか消していると言うか……あ、これってもしかして逃げるチャンス?
そう考え付くが早いか今だ言い争う2人に顔を向けたままそろりそろりと後退して行く。
よし、このまま距離を離して行けば…

「三成君家康君、君達またなのかい?そういうことは道場でしてくれと言ったじゃないか。」
「おい、こっちで人の悲鳴が聞こえたんだが……あ。」
「あ。……………あー!?!?」

呆れた様子でやって来た半兵衛にあぁ俺終わったかも…と自分の運のなさを嘆きながら新たにやって来た声の主へと振り返る。
大方、ここまで来たら十中八九豊臣秀吉なんだろうななんて諦めに近い境地でそちらを見ると、物凄く見覚えのある姿がそこにはあった。
えっちょっどういうこと!?


「………」
「………」
「どうしたんだい秀吉?」
「秀吉様?」
「秀吉殿?」
「…お前、ちょっと来い。」
「了解。」


Back





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -