「なんで……っ!」



その後の言葉が、どうしてもつっかえてしまう。

喉がヒリヒリと焼け付くように熱くて、何を言おうとしても、うまく音になってくれそうになかった。



貴方に



(何か、言わなきゃいけないのに)



でも



何かって、一体何を言うと言うの?



なんでそんな、普段着ない様な「らしくない」格好をしているのか、って



どうして隠れるように「あの男」とキスしていたのか、って



そんな事



だって、聞いてしまったら



知ってしまったら、もう



「いやだよ、せんぱい」



俺は、貴方をずっと信じて居たいのに。



「アッテンボロー」



先輩が俺を呼ぶ声が、とても無機質で
まるでそこらの物でも呼ぶような、何の感情も見えない音がする。



ぼやけて何も見えなくなってしまった役立たずの眼に、強くしがみついてしわくちゃになったダークグレーのスーツの色だけが鮮明に焼き付いていた。



あぁ。



(貴方が何も無いって笑って否定してくれるなら、俺は馬鹿みたいに言うままを信じるから)










BGM『SPY』
Noriyuki Makihara







アッテンボローを幸せにしてあげたいけど
同時に泣かせたい。

屈折した愛故です。

ちなみにヤンは困らせたい(笑)
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