「それ、おいしそう」
購買で買った焼きそばパンをかぶりついていると後ろから雄歩の声がしたのでふりむくと雄歩の視線は俺のパンに注がれていた。あ、俺今このパンに嫉妬したかも。 俺が「食べる?」と聞けば雄歩は首を縦に振りながら「いるいる!」と言ってきた。なんだよその可愛いしぐさは。昼間っから俺の理性をぶっ壊す気か。 ほいよ、と言いながらパンを差し出すとぱくん、と雄歩は口をあけて食べた。あ、これってもしかしてさ、間接ちゅうじゃないの?
「んまい!」 「だよなー」 「うめえーって、あれ?鐘?」 「ん?」 「口の端にパンくずついてる」 「え、」
雄歩の顔が近づいてきたなーと思っていたら右の頬にふにゅ、としたものがあたり雄歩の顔が離れていった。ふにゅ?ふにゅって、ふにゅって、もしかして、唇? 雄歩の唇が俺の頬にふにゅってなったのか?
「………」 「鐘ー。お礼に俺のクリームパンやるよ。あーんして」 「……」 「鐘、ほら、いらねえの?」 「…あ、いる!いるいる!」
俺の脳内ではいろんなことがぐるぐるとまわっていて、雄歩は気づいていないと思うけど、もう、限界に近い。 雄歩の食べていたクリームパンをぱくん、と食べると雄歩はにかっと笑った。
「さっきも思ったんだけどさ、」 「ん?なに?」 「これって、間接ちゅうだよな」 「っ、ぶほっ!」
雄歩、もうちょっと、恥じらいを、もってくれ…!
茜築さんへささげます
(090626)
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