立ち止まると、柩は振り向いてやわらかく笑ってくれる。
その顔が思いがけないほど優しくて、オレはいつも俯いてしまう。
朝起きると、同じ布団で必ず柩はオレより先に起きて髪をすいてくれている。
親子と言えど男女は別室と、ネムと灰羽が来てから別々の部屋を渡してしまったので(お父様はここはツレコミチャヤじゃないと言っていた。ツレコミってなんだ?)
灯屋の部屋が埋まってしまい、オレは柩と同じ部屋を使うことになった。
別に作ろうと思えば新しい部屋を作ってそこで寝起きすることもできるんだけど、柩は掃除の手間が省けるからってオレを自分の部屋に連れて行った。
同じ灯屋の中だけど、泊まりみたいのが楽しくて最初は喜んだ。柩も嬉しそうだったからいいと思ったんだけど、同じ部屋になってからは朝も夜も柩とずーっと引っ付いている。
ただじゃれたり口付けしたり、そんなことをしてるとよく柩の手でわけわからないくらいどろどろにされる「あれ」に流れていってしまう。
柩が嬉しそうだった理由って、もしかしてこれじゃねぇのかなって今では思う。
元オレの部屋から重たい布団も一式持ってきたのに、いつも柩の布団の中に引き込まれるので一度も使ったことがない。
柩がしてくれることは全部気持ちいいし、柩のことは大好きだからいいんだけど。
あんまり優しく触られたりすると、離れたりやめられなくなりそうでちょっとこわい。
柩に言ったら、シンミョウな顔で「早くそうなればいい」って言われた。柩はオレを甘やかすのがいいらしい。
もともと優しかったけど、こういう仲になってから柩はオレにすごく甘い。なんだか落ち着かないくらいに。
布団の中でまだ寝ぼけて柩を見つめているとわかってるのかわかってないのか、柩はオレに口付けてくる。
いつも先に起きているせいで、柩の寝顔をあまり見れたことがない。
柩はやることが多くて、オレより早く起きなくちゃいけないから仕方ないけど、オレが起きるときはいつも近くにいてくれる。
おはようって言うつもりで柩の首に腕を回したら、背中に腕を回して抱き締めてくれた。
あんまり朝からこういうことしてるのはよくない気もする。でもだいたいは時間だと柩が離れるまではずっとこうしている。
柩の作った朝飯はいつもおいしい。
家事が終わって一段落すると、柩は稽古を付けてくれる。
このときばかりは柩も容赦なくて、オレはまだ柩に勝てたことがない。強すぎる柩にオレがぶすくれていると、今日は剣筋がよかったとか頑張ったなって頭を撫でて誉めてくれる。
稽古の後で庭の木の影で隠れて口付け合ってると思う。今オレが刀を振り上げたらどうなんのかな。
こういう甘やかしてるときの柩になら勝てそうなのに。
1日も終わってまた柩の部屋でふたりだけになると、柩はオレを膝の上に抱き上げてぎゅっと抱きしめてくる。
腕の中で柩の胸に体を預けてるとなんでこんなに気持ちいいのかわからない。
柩はこういうことに馴れてる感じがして、一度柩にあれこれ聞いてみたけどはっきりとは答えてくれない。
もやもやする。
オレはずっと柩と一緒にいたのでろくに経験がないことを知っているので、すごく嬉しそうだった。ふこうへいだ。
自分から目の前の柩の唇を掠め取ったら、柩が淡い色の目を見開いた。それに満足して笑うと、とろけた表情になった柩にすきだと囁かれる。
その声に震えて、顔が熱くて真っ赤になるのが分かる。
やっぱり、柩には勝てねーのかなぁ。
金平糖の海から流れてく
*
柩橘がただいちゃいちゃちゅっちゅしてるだけの文章を書こうとしたらまともな文章じゃなくなった。
柩橘かわいいよえへえへ!
少年チラリズム
http://nanos.jp/boys/
2011.11.27