視界は白く、足元は雪に取られて身動きができない。きみの耳元は赤く、吐く息は白いけれど俺が抱き締めているせいで顔は見えない。
きみをきつくきつく抱き締めたままそのきれいな瞳を見つめていられたらすごく幸福なんだけど。そんな方法、俺は知らないしきみはそんなもの望んでなんかいない。

ここにあるのは一方的なものなんだ何もかも。
きみを好きな俺も。この抱擁も。はるか銀河のしたから降り続くこの雪だって。


「………、」

だから早く手を放してしまわないと。
円堂君は俺が知ってるものでいちばんきれいな人だから、不純物が混じった俺が触ってしまってはよごれてしまうかもしれない。きみのよごれすらきっと美しいのだろうけど。
俺の世界がすべてきみだったならよかったのに。すでに俺はきみで溢れているのだけど、他の要素が入る隙間がないくらいきみで埋め尽くされていたい。ここが、俺たちしかいない惑星だったのならよかったのに。

馬鹿だな、俺、そんなの父さんや瞳子姉さんたちが存在しない世界なのに。きみを、きみだけを願ってしまうなんて。俺はおかしい。きみを好きになるたびにどんどんおかしくなる。



「…ヒロト、」

きみが俺の名前を呼んだ。心臓が跳ねた。どくどくいっている。
ぐるぐる絡まっていた俺の思考をいとも簡単にたった一声で霧散させた。きみしか考えられなくなる。


「大丈夫か?」

「あ…」

まだ俺は円堂君を抱き締めたままだった。優しいきみは突然に不可解な行動を取る俺ですら理解しようとしてくれる。そう、はじめから。だから円堂君は俺をとらえてはなさない。
俺はどんどんきみが愛しくなる。気持ちに果てがないんだ。これ以上きみを好きになれないと思っていたのに。


「円堂君、円堂君……俺は、俺はね」

溢れる感情で滲んだ涙を、きみのやさしい瞳を、星は知っている。




プラネタリズム


*

意味がわからないよまもりゅううう結婚してぇぇぇぇ!
円堂くぅーんを勝手に抱き締めて好き好きし出すヒロトの情緒不安定さ銀河級。


泳兵
http://hp.xxxxxxx.jp/zibra/

2011.01.03
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